サブスクリプション(定額制)サービスって、1つずつは決して高くないところが魅力、あるいは怖いところですよね。合計するとけっこうな金額になるので、今回の記事を読んで検討してみるといいかもしれません。
今や、サブスクリプション全盛の時代。動画や音楽などの趣味から、ファイル共有や文書編集といったビジネス用途まで、いろいろなデジタルサービスが数ドルほど、日本なら1000円ほどで利用できます(Appleだけでも、最近、次々とサブスクリプションサービスを発表しています)。でも、そのお金の使い方は賢明と言えるでしょうか。サブスクリプションに代わる選択肢をご紹介しましょう。
今この記事をお読みのあなた、きっと深く考えずにNetflixを契約してますよね? でも、以前のように「映画やドラマなら何でも揃っているサイト」とは言えなくなってきました。原因のひとつは、ライバル会社が作品を引き上げていることにあります。
かわりに、Blu-rayディスクを購入するという選択肢があります。著作権法で許されている国や地域なら、ディスクからPCにリッピングしたうえで、Plexなどのソフトウェアを使って複数のデバイスにストリーミングすることもできます。
リッピングまではしないとしても、映画やドラマをいつまでも、しかも高解像度で所有できるのはうれしいですよね。Blu-rayディスクなら、Netflixでよくあるように、ある日とつぜん見られなくなる、ということがありません。Netflixオリジナルのなかにも、Blu-ray化されている作品があります。
1か月の半分以上は映画を見ている、というくらいの人になると、ディスクを購入するのはNetflixより高くつくかもしれません。でも、それってテレビに張り付きすぎじゃありませんか? Blu-ray派になって、もっと見るものを厳選してみるのはどうでしょう。コンテンツはいつまでも手元に残りますし。
これまでに録音されてきた音楽がほぼ何でも揃っていて、ボタンをクリックするだけで聴き放題というのは、確かに現代の奇跡と言えます。でも、Spotify、Apple、Deezer、Tidal、YouTube Music、Amazon ......そういったサブスクリプションサービスに毎月10ドル(約1,000円)払うのをやめるという選択肢はないでしょうか。自分のデータをすべて提供しているという点もお忘れなく。
今でも多くのオンラインショップで、MP3やCD(MP3にリッピングできます)は普通に購入できます。楽曲のコレクションがコンパクトになって管理しやすくなりますし、購入したデータは一生、自分のものになります。しかも、スマートプレイリストは引き続き利用できます(たとえば、しばらく聞いていない曲を思い出させてくれます)。
ただし、Blu-rayディスクのコレクションと同様、MP3で揃えるのが、ストリーミングより安くなるとは限りません。何といっても、月額10ドルであらゆる音楽が聴けるというのは、やはりとんでもないコスパです。MP3に切り替える理由は、そういうコスト面だけではありません。大切なのは、音楽を自分で所有するということ、好きなミュージシャンを応援するという意識、厳選した音楽を深く聞き込むという気持ちです。
何よりも、CDやMP3に使ったお金は、素晴らしい音楽を作り出しているアーティストに流れていきます。新しい曲を無料で聴きたければ、YouTube、ラジオ、Spotifyの無料版など、方法はいくらでもあります。
Adobe Creative Cloud suiteはスイート製品なので、その全機能にお金を使うのはもったいないかもしれません。コンポーネントのひとつであるPhotoshopを使うだけでもSpotifyと同じく月額980円かかるからです。かといって、サブスクリプションをやめたらPhotoshopは使えなくなってしまいます。
そこで登場するのが、フル機能のPhotoshopから機能を削った廉価版、Adobe Photoshop Elementsです。ただし、購入には1万7800円かかるので、この記事の趣旨にはちょっと反していますね。通常版のPhotoshopほど高機能ではありませんが、画像や画像編集のプロでもない限り、基本機能に絞ったパッケージのほうが、必要な機能が何でも揃っているということになります。
1回購入すれば自分のものになり、支払いを続ける必要はありません(今後のリリースでアップグレードを選択することはできます。もちろん任意です)。フル機能のPhotoshopと比べると、高機能なツールやエフェクトはありませんが、簡単に使えるうえに、オートフィルターやちょっとした便利機能は満載です。
動画編集の場合にも同じことが言えます。Adobe Premiere Elementsも1万7800円(Photoshop Elementsとのバンドル版だと2万4800円)です。フル機能のAdobe Premiereが月額2,480円なので、機能を割り切って考えれば、購入を検討する余地は十分にあるでしょう。
Microsoftは今でもスタンドアロン版のOfficeを販売していますが、本音を言うと、全ユーザーにサブスクリプション版に移行してもらいたいと考えています。サブスクリプション版のOfficeは、フル機能を使えるうえにアップデートがあります。料金は、すべてのOfficeのアプリケーションを使えるプランで年額1万2744円からです。
Excelの高度な機能をめいっばい使っているとか、Wordで重要な技術レポートを書かなければいけないという場合なら、Officeを使う意味はあるでしょう。でも、そこまでいかないのであれば、たとえばGoogle Docsでも十分間に合います。しかも、完全に無料です(Googleにアクティビティを追跡される点は別問題として)。
Google Docs、Google Sheets、Google Slidesは、Microsoft Office形式のインポートとエクスポートにきちんと対応している(昔よりずいぶん良くなりました)ので、誰かに送ってもらったファイルを開けないという心配はありません。本家Officeと比べると機能は限定されていますが、その機能のほとんどは、なくても困らないものばかりでしょう。
意外と知られていないのが、Microsoft製品を持っていれば、無料でオンライン版のWord、Excel、PowerPointも利用できるということです。もちろん、機能面では限定されているのですが、ほとんどのユーザーはそれで十分です。
最近では、自分のファイルを、少なくとも部分的に、サードパーティ製のクラウドストレージに保管することが当たり前になりました。でも、自前で同じように保管できるとしたらどうでしょう。NAS(Network-Attached Storage)デバイスを導入すれば、Dropboxのようなクラウドストレージの利便性の多くが実現し、しかも毎月の料金はかからなくなります。
NASは、お使いのコンピューターやスマートフォンから独立しているので、それらが破損(または紛失)しても、データは安全なままです。直接ルーターに接続されるので、世界中どこにいても、どのデバイスからでも自分のファイルにアクセスできます。
NASを運用するのは、GoogleやApple、Dropboxで追加料金を支払って使用領域を増やすほど簡単ではありません。文書や写真のバックアップをとる手順も少し複雑です。それでも、毎月のサブスクリプション料金が不要になりますし、必要に応じて好きな規模で導入できます。
NASを使う場合でも、どこか別の場所にファイルのバックアップを確保しておくことが重要です。NASデバイスが火災や洪水でダメになることはありうるからです。でも、クラウドストレージのサービスを使う場合でもリスクは同じわけなので、必要な対処という意味では何ら変わりません。肝心なのは、ここまでにお伝えしてきた各種の代替策と同様、自分のデジタルライフを自分の手に取り戻せるということなのです。