• |
  • 記事

  • |
  • シャオミに聞く日本展開の現状...

シャオミに聞く日本展開の現状とこれから。6月2日に「コスパに自信」なSIMフリー2機種を発表へ

書かれた 沿って mobilephonebrand

シャオミ(Xiaomi)は6月2日にSIMフリースマホの新製品2機種を日本向けに発表します。ひとつは昨年2019年12月の参入時に投入したスマホの普及版「Mi Note 10 Lite」。もう1機種は日本では初めての投入となるサブブランドRedmi シリーズの「Redmi Note 9S」。SIMフリーで新たに2製品を投入することで、より安価な選択肢を充実されることになります。

今回Engadgetでは、シャオミの日本でのキーパーソンにインタビューを実施。新製品の特徴や今後の戦略についてお話いただきました。対応者は、シャオミのSteven Wang(スティーブン・ワン)氏とZhiyuan Zang(チューヤン・ザン)氏のお二人です。新型コロナウイルス感染症の影響を鑑み、今回はオンライン通話にてインタビューを実施しています。

──まずは、今回発表するスマホについて教えてください。

ザン氏

6月2日には日本向けにSIMフリースマホを2機種発表します。ひとつ目は「Mi Note 10 Lite」。昨年(2019年)12月の日本参入時に投入したMi Note 10の兄弟モデルです。外観はMi Note 10と同じデザインで、背面は光の当たり方によって虹色に輝くユニークな多層コーティングを施しています。大画面の有機ELディスプレイを搭載し、カスタマイズできる待受画面機能も備えています。

Mi Note 10とは、大きく2つの違いがあります。ひとつは「色」。Mi Note 10にはない「ネビュラパープル」をラインナップに加えています。また、「カメラ」にも違いがあります。Mi Note 10では5眼カメラで1億画素センサーを搭載していましたが、Liteは4眼カメラで、6400万画素のセンサーを搭載します。ソニー製のIMX686という最新のイメージセンサーを採用し、ズームや超広角、マクロといった幅広いシーンで活用できるよう仕上げました。

──もう1つのモデルはどのような製品でしょうか。

ザン氏

2つ目の製品は「Redmi Note 9S」です。Redmi シリーズはシャオミの製品群の中でも売れ筋のシリーズです。今回、日本に初めて投入することになりました。

「ハイスペックな製品を手の届く金額で」というのがRedmiのDNAです。Redmi Note シリーズの世界での出荷台数は1億1000万台を数え、Redmi Note 7は2019年にシャオミでもっとも売れたモデルになりました。

今回はその最新機種のRedmi Note 9Sを日本に投入します。画面はシャオミがタイニー・ドットディスプレイ(Tiny Dot Display)と呼ぶ、パンチホール型インカメラの大画面ディスプレイを搭載。左右対称でスタイリッシュなデザインや、5020mAhの大容量バッテリーながら厚さ8.8mmという薄型な点もポイントです。

背面カメラは4眼で、4800万画素のメインレンズに超広角や深度センサー、マクロレンズで構成。こちらもあらゆるシーンで対応できるカメラを、低価格なモデルに詰め込みました。

──おそらく読者も気になっているところと思いますのであえて聞きますが、おいくらになるのでしょうか。

ザン氏

価格については、 6月2日のオンライン発表会をお待ちください。ただ、新製品は日本市場の中で、もっとも「コスパ」(コストパフォーマンス)の良い製品になる自信を持っています。

──「コスパの良さ」ではRedmi Note 9Sが目立ちそうですが、Mi Note 10 Liteについてはいかがでしょうか。

ザン氏

はい。Mi Note 10 Liteも、コスパには自信があります。その価格帯の中ではもっともコスパの良い機種になると考えています。Mi Note 10 Liteはプレミアム帯の製品になりますが、それにふさわしい、デザインや素材を備えています。そして、その価格帯なかで、Snapdragon 730G(ミドルハイ級のチップセット)と6400万画素センサーのカメラを積む製品は、おそらく唯一になるでしょう。

Redmi Note 9Sも、機能で比較してみたら、価格帯の中では最安ということになるでしょう。Redmi Noteはパンチホール型のディスプレイを備えていますし、上位モデルと同じように、両面にゴリラガラス5を採用し、質感も良く仕上げています。コスパの良さを求めるユーザーに対して、もっとも良い品質を提供する製品になるはずです。

──今回の新モデルはSIMフリー向けの新モデルということになるのでしょうか。

ザン氏

SIMフリーでシャオミの直販と、MVNOで展開する予定です。通信キャリアは楽天モバイルを含む、国内の4つの携帯キャリアで動作検証を行っています。

一部のキャリアでは接続性に関してキャリアと共同で検証していますが、シャオミが自社単体で動作確認しているキャリアもあります。

■5G対応のSIMフリー投入も検討中

──シャオミは昨年12月に日本のSIMフリー市場に参入して、今年3月にはKDDI(au)での5Gスマホ「Mi 10 Lite 5G」の採用も決まりました。この半年の事業展開に対する感触を聞かせてください。

ワン氏

具体的な数字を共有することはできませんが、売上、出荷数ともにシャオミとしては満足な水準にあります。

なにより、ユーザーやメディアからもおおむね好意的な感触が返ってきていることに手応えを感じています。Amazonでの評価も高く、製品自体の返品率も良好に推移しています。

また、12月の参入時にはシャオミ直販のみからのスタートでしたが、この半年でMVNOなど(LINE モバイル、IIJmio、gooSimseller)にも販路を広げています。

──参入ハードルが高い日本市場で、参入から半年で大手キャリアで販売が決まったのは意外なことにも思えました。

ワン氏

シャオミは、市場のトレンドを予測するのが得意な会社です。

日本市場のトレンドは、ちょうどプレミアムフォンからミドルレンジへの転換期に入っています。そして2つ目の要因として、4Gから5Gへの移行がはじまりつつあります。

シャオミはそのトレンドを見据えて販売先の開拓や営業の戦略を立ててきました。シャオミの企業戦略として一環しているのは、“ハイスペックなものを低価格で提供する”ということです。フラッグシップもミドルレンジの価格で提供していきたいと考えています。

シャオミにとっては自社販売のSIMフリースマホやMVNO向けも大きな市場ですが、今の段階では5Gでの完全なサポートは難しい状況にあります。そこでまずは、5Gのスマホをauから販売していただき、シャオミのスマホを日本向けに広めていければと考えています。

年内には、SIMフリー市場に向けて5Gスマホを投入することを計画しています。

■シャオミの強みは「テクノロジー」と「効率性」


 シャオミに聞く日本展開の現状とこれから。6月2日に「コスパに自信」なSIMフリー2機種を発表へ

──auに「Mi 10 Lite 5G」が採用された要因となった、シャオミの強みはどのようなものだと考えていますか?

ワン氏

シャオミの5Gスマホには、2つのアドバンテージがあると考えています。「テクノロジー」と「効率性」です。

シャオミは今まで1年以上にわたって、5Gテクノロジーを研究しつづけてきました。すでに世界の市場に9種類の5Gスマートフォンを投入しています。5Gテクノロジーで世界的に先行しているメーカーの1社となっていることは間違いないでしょう。

効率性も強みです。一般論として、スマートフォンの製造は、スケールが大きくなれば、1台当たりの製造効率が良くなる「規模の経済」が働きやすい分野です。シャオミは世界でのスマホ出荷台数で第4位に位置する大きなメーカーです。

また、コスト効率は研究開発でも有利に働きます。たとえばシャオミの低価格ブランドのRedmi Noteシリーズは1台を開発する際に1000万ドル(約10億円)をかけています。ただし、製品を大規模に出荷すれば、1台あたりのコストは抑えられます。部品調達から研究開発に至るまで、効率性については同じ意識を共有して、仕事をしています。

テクノロジーと効率性で、5Gスマホのノウハウを高めていった結果として、日本のキャリアの要望に応えることができたと言えます。

──日本の市場の中で、シャオミのスマホメーカーとしてのライバルとして意識している会社はありますか? たとえば世界的な調達力のある企業ではAppleやOPPOといった企業がすでに先行していて、ソニーやシャープといった日本のメーカーは日本市場のニーズに応える製品を提供しています。シャオミとしては、どのような企業とライバルとして位置づけているのでしょうか。

ワン氏

今名前を挙げられた4社は、スマートフォンメーカーとして、いずれも同じようなビジネスモデルで展開されていると認識しています。シャオミはライバルとは違うやり方を採用し、成長してきました。ビジネスモデルや仕事の方法論も大きく違います。

シャオミは2010年創業で、スマホメーカーの中でも若い企業です。競合企業の中には、大規模な生産を行って大きなシェアを獲得している企業も多く存在します。

その中でシャオミが特異なのは、スマホを「エコシステム」の中心として位置づけていることです。シャオミはパートナー企業との協力により、生活家電やライフスタイル製品において、2000種類以上ものエコシステム製品を展開しています。

エコシステム製品には、たとえば Bandのような手頃な価格のウェアラブルデバイスがあります。また、日本では未発売ですが、薄型テレビではシャオミは2019年の世界販売シェアで5位につけています。また、モバイルバッテリー「Mi パワーバンク」のような周辺機器もあります。それらのエコシステム製品は、さまざまなかたちでスマホと連携します。

また、シャオミは“ユーザー第一”な会社でもあります。

たとえば、シャオミは日本ではテレビCMを打っていません。テレにCMには大きな販売効果がありますが、一度に数千万円という大きな費用がかかります。その数千万円を広告で使うのではなく、消費者に対して本当に必要なところに回した方が良いというのが、シャオミの発想です。

大規模な広告を出さなくても、コスト削減の努力によって、製品の価値を高めることができれば良いと考えています。スペックを見比べて上で選んでいただけるという自信があります。

■エコシステム製品は今後拡充へ

──日本向けのスマホが順調に機種を増やすなかで、エコシステム製品については12月に発表した炊飯器やスーツケースなどの発売にとどまっており、日本での展開は上手く進んでいないようにも思えます。今後、エコシステム製品の拡大についてどのような展望がありますか。

ワン氏

エコシステム製品については、少しずつでも紹介していければと考えています。6月2日の発表は、スマートフォンを中心とした発表があります。

日本でのエコシステム製品、特に家電などの製品については、とても特殊な事情があり、順調に進んでいないのが実情です。日本は各種認証や求められる技術スペックのハードルが高く、日本の特殊な基準にあわせるために製品を作り直す必要があります。そのためのリソースと投入までの時間の長さは、課題となっています。

たとえば、シャオミのエコシステム製品に空気清浄機があります。これを日本に投入するとしたら、製品評価におよそ8か月もの期間が必要となります。

エコシステム製品の展開について具体的な計画は確定していませんが、今年2020年の後半から来年にかけては、注力していきたいと考えています。

──エコシステム製品の展開については、日本での販売戦略が見えづらい印象も受けます。たとえばシャオミブランドの炊飯器はAmazonのシャオミストアで直販している家電もありますが、輸入代理店が「エコシステム製品」を扱っているケースもあります。

3月には楽天市場にて「Xiaomi楽天オフィシャルストア」がオープンしましたが、その際にシャオミ公式サイトなどでのアナウンスはありませんでした(その後中国シャオミ本社の公認と確認されるも、現在はリニューアルのため休業中)。

公式な販路かどうか分かりづらいケースがあると、ユーザーとしても製品を購入しづらいのではないかと思います。製品の販売方法について今後、何かしらの見直しなどは検討されていますか。

ワン氏

フィードバックありがとうございます。この件について、公式サイトのMi.comでなにかしらのチューニングを施すなど、検討いたします。

たとえばMi.com上にて公式に販売しているストアを明示するといった改善策を検討したいと思います。

──ありがとうございます。最後に、Engadgetの読者に対するメッセージがあればお願いします。

ワン氏

シャオミは、日本市場での長期的な発展を望んでいます。まずは来週6月2日、14時からの新スマホ発表会をぜひご覧ください。

また、製品を改良していくために、ユーザーのみなさまの声は積極的に取り入れていきたいと考えています。批判的な意見もふくめて、TwitterやFacebook、LINEなどのシャオミ公式SNSアカウントにぜひフィードバックをお寄せください!

──本日はどうもありがとうございました!

(インタビューここまで)

6月2日にシャオミが発表を予定している製品は「Mi Note 10 Lite」と「Redmi Note 9S」のスマホ2機種。いずれもSIMフリーで、発売済みのMi Note 10よりも低価格な製品となる見込みです。機種の詳細については以下の記事をご覧ください。

機種の詳細がおおよそ判明しているため、もっとも期待と注目が集まるのは「価格」の一点になるでしょう。Mi Note 10の発表時の価格は5万2800円(税抜)で、スペックから判断すれば割安なものの、SIMフリースマホとしては比較的高価なラインの製品となっていました。

Mi Note 10の質感を保ちつつカメラ性能を抑えたMi Note 10 Liteと日本では初めての投入となるRedmi Note 9Sは、SIMフリーのボリュームゾーンとなる、より価格帯に投入されることになるでしょう。この2機種の価格から、シャオミの日本市場に対する挑戦の本気度をうかがい知ることになりそうです。

あなたのプライバシー設定では、このコンテンツをご利用できません。こちらで設定を変更してください

関連リンク:Xiaomi 日本

関連記事: