スマートウォッチやPC、タブレットとの連携を強化するサムスンのGalaxyエコシステムとは

書かれた 沿って mobilephonebrand

 サムスンは6月28日にMWCバルセロナ2021でプレスカンファレンスを行ない、スマートフォンを中心としたエコシステムの展開や、グーグルと協業したスマートウォッチの今後の戦略についてを説明したので、まとめてみたい。

新製品はないが、エコシステムの解説からこれからのサムスンの進む道がわかる

 イベントはイギリス・ロンドンにあるサムスンのフラッグシップエクスペリエンスストア「Samsung KX」から録画中継で行なわれた。ハードウェアの新製品発表はなかったものの、Galaxyスマートフォンを中心としたエコシステムの展開を中心に最近の取り組みなどが紹介された。

新製品の発表はなく、Galaxyエコシステムを紹介

 イベントで最も時間をかけて説明されたのがスマートウォッチの新しい展開だ。5月にグーグルが開催した「Google I/O 2021」でサムスンとグーグルはスマートウォッチで歴史的な提携を発表。グーグルが展開していたスマートウォッチ向けのOS「Wear OS」がサムスンのスマートウォッチで採用されている「Tizen OS」と統合されることが発表されたが、本イベントではより詳細な情報が説明された。

スマートウォッチの新しい動きが本イベントの最大の発表となった

 Google I/O 2021ではサムスンとの提携によりスマートウォッチの高速化やフィットネス機能の強化、またオフライン機能の強化などが図られることが発表された。オフライン機能も大きな進化を遂げ、GoogleマップやYouTube Music、Spotifyなどもスマートフォン単体で動くようになるという。両社の提携はアップルの「Apple Watch」にようやく正面から対抗できるスマートウォッチが登場することが期待できる。

サムスンとグーグルの提携によりアップルへ対抗

 新しいスマートウォッチOSでは、アプリケーションのインストールは自動的にできる。スマートフォンにスマートウォッチアプリをダウンロードすれば、スマートウォッチ側では何も操作することなくアプリがインストールされるのだ。Goolgeアプリだけではなくサードパーティーアプリも対応し、また多くのアプリがスマートウォッチで動くようになる予定だ。

アプリの自動インストールはスマートウォッチ体験をより快適にする

 スマートフォンとスマートウォッチで設定や予定のシンクロも自動的にされる。スマートウォッチがスマートフォンのコンパニオンとして、腕にはめているだけでスマートフォン側で変更された情報をそのまま表示できるようになる。

スマートフォンでタイムゾーンを変更、スマートウォッチでも自動変更される

 またサムスンが現在販売しているスマートウォッチが備える多彩なウォッチフェイスのカスタマイズ機能も、新しいグーグルのスマートウォッチOSへ引き継ぐことができる。ウォッチフェイスにはお気に入りのアニメーションを自由なサイズで張り付けることも可能だ。より楽しいウォッチフェイスを楽しむことができるようになる。

ウォッチフェイスのカスタマイズ性も高まる

 そして今後はスマートウォッチへの4G/LTE機能の搭載も進められるという。サムスンのスマートウォッチはLTE対応モデルが数多くあるが、グーグルの新OS搭載の他社スマートウォッチも同様にLTE対応製品が増える予定だ。運動をするときなどスマートウォッチを更衣室のロッカーに保管し、スマートウォッチだけで活動することも多いだろう。LTE搭載で、スマートウォッチ単体での通話やSNSの利用なども容易にできる。

LTE搭載がスマートウォッチにも進む

 スマートウォッチやPC、タブレットとの連携を強化するサムスンのGalaxyエコシステムとは

 なお、サムスンはスマートウォッチのOSのアップデートを発売から3年間保証すると発表した。これにより最新のセキュリティー対策にも対応したスマートウォッチOSを購入してから3年間使い続けることができる。

スマートウォッチのOSアップデートも3年間保証される

 そして新しいスマートウォッチは次の新製品発表会「Unpacked」で発表されることもアナウンスされた。詳細は不明だがグーグルと提携した新しいOSが搭載されることは確実だろう。サムスンは例年8月にUnpackedイベントを開催しスマートフォン新製品を発表しているが、早ければ8月に新スマートウォッチも同時に発表されるかもしれない。

スマートウォッチ新製品は次のUnpackedで発表される

スマホとPCの連携も今後はマストか

 スマートフォンとPCの連携もGalaxyエコシステムの中心的な存在になっている。サムスンはマイクロソフトと提携し、マイクロソフトの多くのサービスをスマートフォンとPCでシームレスに利用することができる。Microsoft 365を中心に、OneNoteとSamsung Note(日本版ではGalaxy Note)の自動シンクロなど、両社の提携はビジネスシーンでの生産性を高めてくれる。

Windows 10 PCとGalaxyスマートフォンでアプリのシームレスな利用が可能

 Windows 10はGalaxyスマートフォンのアプリをスタート画面にピン留めし、起動することもできる。スマートフォン側にしかないアプリやサービスもPCで使うことができるのだ。マイクロソフトはWindows 11でAndroidアプリを動作可能にするが、Amazonアプリストア経由ということですべてのアプリが利用できるようではないようだ。それに対してGalaxyスマートフォンとの連携であれば、GalaxyスマートフォンにインストールされているアプリのほぼすべてをWindows側で利用できる。

Windows 10上でGalaxyスマートフォンにインストールしたアプリが動く

 GalaxyスマートフォンのギャラリーからOneDriveへの写真の自動シンクロ機能も便利だ。Googleドライブの圧縮画像の無制限保存サービスが5月に終了した今、スマートフォンの写真のバックアップ先にOneDriveを使うことも現実的といえるだろう。サムスンがPCとの連携機能を強化しているのはビジネスユーザーだけがターゲットではなく、スマートフォンネイティブ世代がPCを使い始めたときに、スマートフォンと類似の体験をPCにも提供しようとしているのである。

OneDriveへ写真を自動アップ。スマホ世代のPC利用を快適にする

 スマートフォン新製品の発表はなかったものの、次の製品に新しい機能が搭載される可能性についても言及した。今後サムスンはフラッグシップモデルに、専用スタイラスペン「S Pen」の対応を進めていくという。S PenはGalaxy NoteシリーズだけではなくGalaxy Tabシリーズ、さらに今年春に発売された「Galaxy S21 Ultra」にも対応している。今回あえて次のフラッグシップモデルへのS Pen対応をアナウンスしたのは、8月に発表される予定という次の折りたたみスマートフォンでついにペン利用が可能になるということなのかもしれない。

S Penのフラッグシップモデルへの対応を拡充することが発表された

 今回のサムスンのオンラインイベントは新製品を見ることはできなかったものの、来月以降に発表される新製品に大きな期待を抱かせてくれるものとなった。次のUnpackedイベントが楽しみである。

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