ロシア政府がウクライナの国境付近に軍隊を駐留させ、プーチン大統領がウクライナ東部の親ロシア派2地域の独立を承認して軍の派遣を命じたことを受けて、米国など西側諸国は同国に対して様々な経済制裁を検討しています。その1つとして、米バイデン政権がiOSやAndroidなどを含む米国由来の技術を調達したり使えなくすることを検討しているとの噂が伝えられています。
米国のシンクタンクAtlantic Councilによると、米国が取り得る経済制裁の1つとしては、ロシアを対象とした「外国直接製品ルール」(FDPR)が考えられるとのこと。このルールは2019年、米商務省が中国のファーウェイに対して発動したものです。これによりファーウェイは米国の技術を使ったチップや、Android OSなどの使用を断たれ、スマートフォン市場でのシェアが急落することになりました。
こうした禁輸措置にはケース毎に範囲や広さに幅があり、ロシアの経済全体に及ぼす影響は一概には言えません。しかし米The Washington Postは、米国製の技術を使わずに作られたチップや半導体は地球上に存在しないと指摘。つまり、その気になれば米国は、ロシアをハイテク一般から切り離せるというわけです。
米AppleInsiderは、もしもFDPRが発動されればApp StoreやGoogle Playストアの基盤となるプロトコルが遮断される可能性があること。それによりiPhoneやAndroid端末の機能が低下したり、アップルやGoogleがロシア国内でのアップデート配信を停止せざるを得なくなるかもしれない、と予想しています。
もしそうなれば、ロシア国内で開発されたアプリも、米国のアプリストアにアップデートが送れなくなるでしょう。また通信網やデータセンターなども、米国のソフトウェアやハードウェアの使用が禁止される可能性もあります。
英エコノミスト特派員のHal Hodson氏は「このように国全体のサプライチェーンを弱体化させることは過去に例がない。ファーウェイが事実上破壊されたように、ロシアにも深刻な痛みがもたらされるでしょう」と述べています。
あなたのプライバシー設定では、このコンテンツをご利用できません。こちらで設定を変更してください上記のAtlantic Councilは、FDPR発動の焦点は「ロシアが重要なチップ、集積回路、マイクロプロセッサ、その他の先進技術を調達する能力を阻害する」ことになるとも予想しています。これらの技術はロシアの防衛、民間航空、人工知能などの分野に不可欠なものといえます。
もしも米政府がFDPRを最大限の範囲で実施すれば、ロシア経済が立ちゆかなくなる危険さえあるとも思われます。ウクライナ国民やロシア国民、ひいては世界平和のためにも、プーチン大統領が思いとどまることを祈りたいところです。
Source:Atlantic Council
via:AppleInsider
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