メガネやサングラスとオーディオデバイスを合体させた「スマートオーディオグラス」は、通販サイトで検索すると複数製品がヒットするようになっており、かなり一般化した感があります。ただし相当価格差があるので、品質には大きな違いがあると思われます。
今回はクラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」でプロジェクトを展開している「 X GENTLE MONSTER Eyewear II」(以下Eyewear II)の実機レビューをお届けします!30%OFFの30,646円などの早割価格で展開しています。プロジェクト期間は7月12日までです。
■GENTLE MONSTERのノウハウが生きた装着感
Eyewear IIはセミオープンスピーカーを搭載したスマートオーディオグラス。ファーウェイのオーディオ技術、サングラスブランド「GENTLE MONSTER」のデザインが組み合わされています。
製品は、UV400カットのサングラスタイプ「SMART LANG」、度なしメガネタイプ「SMART KUBO」の2種類が用意されています。
下が「SMART LANG」、上が「SMART KUBO」
まずデザインからして、他社製スマートオーディオグラスと大きく違います。ツルの部分がかなり細身で、パッと見はただのサングラス、メガネにしか見えません。このあたりのコンパクト設計にはファーウェイの技術が生かされているのでしょう。
ツルの厚みは7.6mm前後、高さは最大11.8mm
この細いツルの中に、基板、スワイプセンサー、ピンチセンサー、タップセンサー、振動板などが実装されています
重量も軽く抑えられており、「SMART LANG」が44g、「SMART KUBO」が45.25g。実際に計測したところ、「SMART LANG」は42.8gでした。筆者が普段使っているメガネは約21gですが、Eyewear IIはモダン部分の形状がよいのか装着感は良好です。この点はGENTLE MONSTERのノウハウが生きているのでしょう。
「SMART LANG」の実測重量は42.8g
人間工学に基づいた弧状フレームを採用
「チタン合金弾性ヒンジ」のおかげで当たりは柔らかです
■実質Androidスマートフォン専用
セットアップの手順は、「HUAWEI AI Life」をインストールしたのち、スマートフォンのBluetooth設定からEyewear IIを追加登録するだけでオーケーです。特にIDやパスワードを入力する必要はありません。
iOS端末とBluetooth接続することは可能ですが、iOS用に「HUAWEI AI Life」が用意されていません。また、Eyewear IIのマイクを使った録音機能、紛失したときのための「メガネを探す」機能は、「EMUI11」以上を搭載したファーウェイ端末でしか利用できません。iOS端末では操作のカスタマイズができないので、実質Androidスマートフォン専用と考えたほうがいいでしょう。
パッケージには充電ケース、Eyewear II本体、USBケーブル、説明書、クリーニングクロスが同梱
充電ケースに入れるとEyewear IIをワイヤレス充電できます。ただし充電ケース自体にはバッテリーは内蔵されていないので、USBケーブルで給電する必要があります
充電ケース裏のボタンを3~6秒長押しするとEyewear IIがペアリングモードに入ります
カスタマイズやファームウェアアップデートに「HUAWEI AI Life」が必要なので、iOS端末単体で運用するのは避けたほうが無難です
なお、バッテリー駆動時間は60%の音量で音楽再生が約5時間、通話が約3.5時間とされています。けっして長いとは言えないので、充電ケースにバッテリーを内蔵して単独で充電できるようにしてほしかったところです。当面はモバイルバッテリーと組み合わせて運用することになりますね。
■音楽を味わえるレベルの音質、音漏れは結構気になる
さて肝心の音質については十分音楽を味わえるレベルだと思います。音の傾向としてはニュートラルで、音もしっかりと分離しています。解像感についてはカナル型イヤフォンなどと比べると厳しいですが、構造上そこまで求めるのは酷というものでしょう。
ダブルタップでの音声デジタルアシスタントの起動、再生/一時停止、スワイプでの音量調節、前の曲/次の曲……などの操作も反応がよくて快適です
ちょっと気になったのが音漏れ。逆音波により音漏れを最小限に抑える新開発の指向性音響システムが採用されているとのことですが、無音時に34dBA前後の筆者の部屋で、約80%のボリュームで音楽を聞くと46dBA前後、100%のボリュームで音楽を聞くと56dBA前後の値を簡易騒音計が示しました。
指向性音響システムはオンオフできないのでどのくらい効果を発揮しているのかはわかりませんが、少なくとも電車車内で音楽を聴く際にはボリュームの調節は必須だなと思いました。
これは「渚にまつわるエトセトラ」を最大ボリュームで再生した際のEyewear IIの音漏れ。走行音がうるさい電車車内では最大ボリュームにしたいところですが、近くにいる人には耳障りだと思います
なお念のためサーモグラフィーカメラで本体の発熱を撮影してみましたが、頭表面の温度のほうが高かったですね。また今回長時間装着したままで過ごしましたが、特に温度上昇を体感することはなかったです。Eyewear II自体の発熱を不快に感じることはないでしょう。
ツルの手前よりうしろのほうが熱くなっていますが、これは筆者の体温による温度上昇の可能性が高いです
■音質にこだわったスマートオーディオグラスがほしい方に
スマートオーディオグラスは、メガネに慣れていればイヤフォンよりも長時間装着していて疲れが少なく、またカナル型イヤフォンと比べても落ちにくいというメリットがあります。ツルが大きいので操作しやすい、耳をふさがないというのも小型イヤフォンに対するアドバンテージです。スマートオーディオグラスと言えども音質にこだわって選びたいという方に、Eyewear IIはもってこいの製品と言えるでしょう。