米トランプ政権の輸出禁止措置で、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)をめぐる状況が厳しさを増している。スマートフォン開発の「致命傷」となりかねないのが、中核となる半導体設計のライセンスを持つ英アーム・ホールディングスの取引停止方針だ。実は同社はソフトバンクグループの傘下で、孫正義会長兼社長(61)が生殺与奪の権を握った形だ。
アームは自社では半導体の製造は行わず、開発や設計に特化し、半導体メーカーからの技術使用料などを収益源としているのが最大の特徴だ。
スマホ向けの半導体設計では約9割の圧倒的なシェアを持ち、ファーウェイもアームのライセンスに基づき多くの半導体を設計しているが、アームは取引中断を従業員に指示したとされる。
ファーウェイの任正非最高経営責任者(CEO)は中国メディアに「衝突の準備はしてきた」として、半導体などの自社開発の成果を誇り、禁輸措置の影響は大きくないと強調する。
現行のスマホのライセンスには問題がないとみられるが、技術供与停止が長期化すれば、新たな製品開発が困難になることも想定される。
このアームを2016年に買収したのがソフトバンクグループだ。ソフトバンクとファーウェイは基地局などで関わりが深いが、孫氏にとってはトランプ政権への「配慮」も欠かせない。
折しも、ソフトバンク傘下の米携帯電話4位スプリントと3位TモバイルUSの合併計画について、米連邦通信委員会(FCC)が承認する意向を表明したが、米司法省が反対するなど微妙な情勢だ。
米中のはざまで孫氏はどう動くのか。