そして何が達成されているのか...
アメリカ合衆国のデジタル ミレニアム著作権法に基づいたクレームに応じ、このページから1件の検索結果を除外しました。こんな文言をよく検索結果で見かけるようになりましたよね。これは2000年10月にアメリカで施行された、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)によるものです。デジタルコンテンツに関する著作権を守るために、盗作といった明確な著作権侵害以外にも、著作権保護技術を解除する方法を公表することを禁じる条項が含まれていたりと、従来の著作権法に比べてかなり強力なものになっています。
グーグルは世界最大のリンク収集センターなわけですが、DMCA侵害を犯しているコンテンツへのリンクが検索結果に含まれることもあるわけです。しかし「適時に」DMCA侵害申し立てに対応していれば、グーグルはその責任を負うことはありません。その結果、グーグルが「DMCA侵害だ」と判断したコンテンツは検索結果から削除されるわけです。そこで表示されるのが冒頭の「アメリカ合衆国のデジタルミレニアム...」という文言なのです。
理論上は、正当なDMCA侵害申し立てだけが認められて検索結果から消えていくのですが、グーグルだって著作権法訴訟に巻き込まれたくはありません。なので実際に侵害しているかどうかきわどいケースもどんどんと検索結果から削除されているのが実際のようです。
そして映画スタジオやレコード会社を筆頭に、多くの著作権を所持している個人・団体はそれを知っているようで、DMCA侵害申し立ての数が天文学的なペースで増加しているようです。
TorrentFreakが報じたところによると、グーグルの最新の「Transparency Report」でその数字が確認できます。なんと検索結果だけに絞っても毎月7500万件のDMCA異議申し立てが提出されているとのこと。2011年の段階では月に数十万件、2000年代初頭ではせいぜい毎月8件程度だったそうです。毎月8件から7500万件に増加...実に940万倍にもなっているわけです。すごいですね。
オンラインで実に簡単に異議申し立てができるのもこの増加を手伝っているようです。
ただDMCA施行以前はインターネットにおいて著作権が守られていなかったのも事実です。これによってインターネットがより正当にコンテンツを提供する場になっているのか、それともDMCA異議申し立てが一種の手当たり次第なスパムのように使われているのか、なかなか難しいところじゃないでしょうか。
赤ちゃんがプリンスの「Let's Go Crazy」にあわせて踊るYouTube動画は大丈夫なようですし、じゃあiPhone脱獄はどうなのだ、さらにはグーグルが出している「Transparency Report」では著作権違反サイトのリンクが見られるからそのページも著作権違反だ!という議論も出たりと、デジタル時代の著作権は複雑なようです。
source: TorrentFreak
Chris Mills - Gizmodo US[原文]
(塚本 紺)