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「死ぬほど笑える」っていうけど、本当に笑いすぎて死ぬことってある? 専門家に聞いてみた

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もう何に笑っていたかすら覚えていないのですが、水を飲んでる途中で笑わされて、目の前がぼやけて死を感じた経験をしたことがあります。「自分の人生が笑って終わる」とか言葉にすれば一見わるくなそうですけど、すごくおかしそうに大笑いしてた人がいきなり苦しむなんて、まさに喜劇が悲劇に変わる瞬間ですよね…。

でも、そういうときの死因はもちろん「大笑い」じゃなくて、動脈瘤や心臓発作になるのでしょうか…? 勝手なイメージを膨らませて気分が暗くなる前に、専門家に聞いてみましょう!

Jorge Antonio Gutierrezさんの意見

デューク大学医学部心臓病学助教

総じて、答えはノーになります。笑うと胸腔内圧が上昇する可能性があります。大動脈瘤がある場合、その圧が血管系に伝達されて破裂することもあり得ます。しかしその場合、あなたはたまたま笑っただけ。笑っているあいだに心臓発作が起きたとしても、心臓発作は何らかのきっかけで起きる可能性があったこと、そのときはたまたま笑いによって起きたのだと考えられます。

1万7000人がどの程度の頻度で笑うかに関するJournal of Epidemiologyの最近の論文では、笑いの少ない人は死亡する可能性が高く、心血管イベントのリスクが高いことが示されました。

それ以外では、笑って亡くなった人の医学文献をたったひとつだけ知っています。統合失調症の治療を受けていた50歳の女性でした。心疾患で死にいたるリスクがあることから、薬の服用を止める必要があったのですが、彼女はその助言を聞かなかったのだそうです。やがて、家で誰かが冗談を言ったとき、彼女は2、3分ほど笑ってから亡くなったといいます。笑いによって不整脈が引き起こされたのです。彼女は実際に、笑いながら亡くなったんですね。

Dana Abendscheinさんの意見

セントルイス・ワシントン大学医学、細胞生物学、生理学助教

「死ぬほど笑える」っていうけど、本当に笑いすぎて死ぬことってある? 専門家に聞いてみた

笑いによって喉頭けいれんが持続的に引き起こされた場合(すなわち突発的に声帯が動かなくなるなど、肺への空気の流れがブロックされたとき)心臓から酸素が奪われ、致命的な不整脈を招く可能性が考えられます。そのとき、速やかに心肺蘇生を開始して心臓に電気ショックを与えないと「笑いで死ぬ」ことは起こります。

喉頭けいれんはまた、食べながら笑っていて、気道を塞いで気管に食物を吸い込むケースにもあり得ます。ハイムリック法によって閉塞を軽減させることはできますが、そうでなければ結果は上述と同じことになります。心臓から酸素が奪われ、鼓動が止まるか心房細動が引き起こされるためです。

Ronald L. Dalmanさんの意見

スタンフォード大学外科教授

エーラス・ダンロス症候群タイプ4やマルファン症候群など、コラーゲンの生成や結合に異常がある場合、息をこらえたり止めたりすると、血圧が著しく上昇して動脈瘤を発症させる可能性が指摘できます。こうしたシナリオは「激しい笑い」の際に発生する可能性があります。エーラース・ダンロス症候群の患者が歯科医の診療室で、おそらく処置中の吐き気や咳などによって破裂した動脈から生命を脅かすほどの内出血を起こしたことがありました。

とはいえ、既存の動脈瘤を「破裂」させるほどの大笑いはあり得るのか?

おそらく、答えはイエスです。特に、腹部または胸部の大動脈瘤、内臓動脈瘤、または頭蓋内動脈瘤がある場合はそうだといえるでしょう。激しい笑いは血圧を上昇させる可能性があり、十分に進行していれば既存の動脈瘤の破裂を引き起こす可能性もあります。無症候性だった頭蓋内脳動脈瘤の破裂は、若くて健康的な女性に多く起こります。

既存の動脈瘤の破裂の原因を正確に知ることはできません。これは、動脈/大動脈壁の脆弱性の増加と、影響を受ける動脈セグメント内の管腔圧や血行動態力の組み合わせです。私の患者は、月曜日の夜に自宅で友人とフットボールを見ながら腹部大動脈瘤を破裂させたことがありました。

では大動脈が解離するほど大笑いをすることはあり得るのか?

またしても、イエスです。特に慢性高血圧、胸部大動脈瘤または解離(TAAD)の遺伝的素因がある場合にはそうだといえます。解離は、大動脈の層のあいだに血液が入り込み、大動脈壁がその長さに沿って分離して裂ける急性大動脈の疾患で、1つしかなかった血の内腔が2つ以上になります。

「解離」と「動脈瘤」は混同されることがありますが、解離は大動脈を弱体化させ、動脈瘤の形成を遅らせます。動脈瘤は破裂することはありますが、解離を引き起こすことはほとんどありません。俳優のジョーン・リッターは大動脈解離の合併症、ジョージ・C・スコットやアルベルト・アインシュタインは破裂した大動脈瘤で亡くなりました。解離は、固有の高血圧症の多さからアジア(中国/日本)では一般的です。脳などその他主要な臓器への血流が遮られると、解離は破裂せずとも致命的な結果を招くことがあります。しかし、動脈瘤がなくても弱くなった大動脈の急性破裂を引き起こす可能性が指摘できます。

動脈瘤の破裂も急性解離のどちらも非常に激しい痛みを伴います。多くの場合には致命的ですので、そういう意味ではまったく「笑いごと」にはならないですね。