前モデルの不完全燃焼挽回なる?
Samsung(サムスン)の最新&最上位スマホの「Galaxy S21 Ultra」に触ってみました。スリックな新デザイン、背面カメラ4つ、他に類を見ない新機能とSシリーズ初のSペン対応が加わって、価格は2万円以上も安くなってます。
Galaxyの実力のすべてを出し切ったフルスペックスマホの実力やいかに!?
Samsung Galaxy S21 Ultra
これは何?:Samsung2021年プレミアムモデル。
価格:1,200ドル(約12万5000円、日本発売価格未定)。
好きなところ:前も後ろもゴリラガラス7、10x光学ズームカメラ、バッテリー長持ち、120Hz駆動のディスプレイ、指紋センサーが大型&高速化、Sシリーズ初のSペン対応。
好きじゃないところ:ストレージもう少し欲しい、4K、8K動画がシャープすぎることもしばしば、microSDカード用スロットがない、ヘッドフォン用ジャックもない、安くない。
まず手にとってわかるのはデザインの違いです。リアカメラは出っ張りも消えてスキッとなって、レンズ周りにガラスではなくメタルを配することで耐久性も高めました。両面ゴリラガラス7にしたのも見た目と強度の両方を確保するためですが、裏面のマットフィニッシュの黒はぐっときます。本当にこんなに時間をかけて選んだかどうかはわからないけど、SR-71ブラックバードやバットモービルを彷彿とさせる存在感がありますね。もちろん好みに応じてホワイトも選べます。
次に画面ですけど、色がとにかく夢のように美しい。モバイルディスプレイはサムスンが世界最高なんだなーと改めて見せつけられた気がしますね。40MPのセルフィ―用カメラは真ん中の小さなパンチ穴。3,200×1,440、6.8インチの有機ELディスプレイはエッジに向かって心もち湾曲しています。
何よりうれしいのは可変リフレッシュレート対応ですね! これはS20 Ultra、Note20 Ultraで初めて対応したんですが、60~120HzだったのがS21 Ultraでは10~120Hzまで可変幅拡大しました。スチル写真を見るときには10Hzまで自動的にペースを抑えてくれるので、バッテリーを無駄に消耗しません。
動画を見るときには各映像のフレームレートにぴったり合うし、ゲームのときは120Hzでプレイできる…といった具合。でも一番驚いたのは単なるWeb閲覧でしょうか。リフレッシュレート高めだと、こんなにも何もかもがスムーズなものなのかと、可変リフレッシュレート(VRR)の威力を思い知りました。
鮮明なこと、反応がいいことが最高のディスプレイの条件だとすると、S21 Ultraの画質とリフレッシュレートに勝てるスマホはちょっと思いつきません。上位機種は120Hzの画面がもう当たり前だし、これがないと勝負になりません。これまで以上に確信しました。
もうひとつの注目点は、Galaxy NoteみたいにSペン対応になったことです。オプションなので、スマホ本体に差込口はないけど、別売ケースにペン差込口付きのものがあります。これでやっとGalaxy Sシリーズでもペンで線描やノートとりができますね(対応までまだ少し時間がかかるのでお試しはできなかったけど)。
S21 Ultraは画面上の指紋センサーがS20 Ultraより1.7倍大きくなって、ずっとスピードも向上しました。あまり話題にされないけど、これは地味にうれしいところ。背面のほうがいいなんて言われることも多いディスプレイ内指紋センサーですが、S21 Ultraのはそんなことないし。コロナで顔認識がアウトな今日び、すごく助かってます。外出するたびに、これあってよかったよって思っちゃう。
米国市場モデルのS21 UltraはQualcomm Snapdragon 888内蔵で、RAMは12GB/15GB、ストレージは128GB/256GB/512GBから選べます。
microSDカード用スロットは今年のGalaxy Sシリーズ全モデルで撤廃になりました。これでサムスンさらば…になる人もいそうだけど、ヘッドホンジャック撤廃と同じで、今はスマホ業界全体がその方向で動いていますもんね。
一番不満なのは、「だったら128GBじゃなくて256GBからにしてよ! microSDで拡張できないんだから!」というところですけど、まあ、256GBにアップグレードしても50ドル程度で済むのがせめてもの救いかな。ほかのプレミアムスマホだと普通この2倍はするので。
iPhone 12のA14チップには敵わないけど(Geekbench 5のマルチコアCPUのベンチ結果は3,614対4,261でiPhone 12 Pro Maxの勝ち)、 S21 Ultra使用中、処理が遅いと感じることはありませんでした。Apple(アップル)最新チップのほうが理論上の性能は上だけど、これはさすがクアルコムSnapdragon 888。何やらせても死角なしです。
そしてなんと言ってもS21 Ultra最大の兵器は背面の4眼カメラでしょう。これは次のような構成。
< class="emphasis" >・108MPのメインカメラ
・12MPの超広角カメラ
・3倍光学ズーム
・10倍光学ズーム
「スペースズーム」なんてアホなPRだな~と思ってたら、S21 Ultraは冗談抜きでスペースズームです。100倍ズームかどうかはひとまず置いといて(デジタル処理ならいくらでも倍率上げられるので意味ない)、3倍、10倍ズームは本当に便利。守備範囲が一気に広がりました。
10倍に上げてNYの街並みを狙うと、6~7km先のエンパイアステートビルまでくっきりシャープ。新機能のズームロック(AIによる手ブレ補正)を使えば三脚も要りません。望遠ズームが万能なところがデジイチやミラーレスカメラの魅力だけどあれに近い使用感をモバイルで初めて実現しちゃってる感じで、使いながら、あ~あ、コロナじゃなかったらもっと自由に街撮りできるのになーとますます落ち込んでしまいました。もっと倍率の低い3倍光学ズームで比べても、Pixel 5のソフトウェア処理による3倍超解像ズームに勝る画質です。
さらにS21 UltraはレーザーAFセンサーが搭載になっているので、ピンボケも一掃されます。サムスンは全体的にPixel 5より黄みがかった写真処理で知られますが、S21 Ultraは肉眼で捉えたありのままの色にもっと忠実に感じました。何より驚いたのはナイトモードです。Googleが誇るNight Sight(夜間撮影)モードに勝てるショットもチラホラありました。たとえば以下の9枚目のカオナシの毛糸もPixel 5よりずっとくっきり写ってます。
望遠以外のモードも、S21 Ultraは処理性能が上がって強化されています。シングルテイクではワンタップでスローモーション映像とスナップを最大10fpsで撮れる(去年は2~3fpsだった)し、ポートレートモードも前のぱっとしないライブフォーカスよりずっと改善。ディレクターモードではこんな風(2:50~)に自分の顔を芸能人のように隅に表示させることもできちゃう。物撮りに集中しすぎると、すぐフレームから顔がはみ出ちゃうけど、慣れれば常時INに保つコツもつかめるんでしょね。
8Kビデオ撮影も可能で、映像から高解像度写真も切り出し可能です。 まあ、4Kと8Kはシャープになり過ぎてモアレ(干渉縞) っぽい縞々が映像に薄っすら入ることもありましたけどね。
S21 Ultraは5,000mAhの大容量バッテリーなので、バッテリー駆動時間は歴代Galaxy Sスマホで最長です。動画視聴テストではなんと16時間45分の好成績を出しました。昨年のテストでこれに勝る成績をあげたのはMoto Edge+(17時間18分)、6,000mAhのモンスターバッテリー搭載スマホAsus ROG Phone 3(16時間56分)だけです。
microSDカード用スロットが消えたのは残念だけど、Galaxy S21 Ultraは最高の画面、最大倍率の(実用性の高い)望遠ズーム、感度抜群のディスプレイ内指紋センサーを備えたスマホです。昨年のUltraより2万円以上安くなってるし、ウルトラ兄弟Galaxy Note 20 Ultraに比べても1万円安くなってます。ワイヤレス充電、リバースワイヤレス充電、写真処理性能の強化、便利になったカメラモード、未来を見据えたUWB(Ultra Wide Band=超広帯域無線通信)サポートなどなど考えると、これ以上は望むべくもないスマホであり、サムスンの大言壮語にやっと現実が追いついてきたなと感じました。
処理性能ではちょいとばかり上かもだけど、iPhone 12 Pro Maxもこれはうかうかしてられませんね。
修正[2021/01/28]誤字を修正しました