1点目の「対面よりも10倍リッチなコラボレーション体験を提供する」に関しては、Webex Suiteの特徴と新たな機能について触れた。
「Webex Suiteは、多くのユーザーが、より簡単に、より手軽な価格でハイブリッドワークの体験を行えるようにしたものである。単品で購入するよりも低価格で、全てのサービスがひとつのダッシュボードで管理できる。そして、時代にあわせて進化した機能を、クラウドを通じて提供する」とした。
ここでは、新たな機能として、日本語を含む108言語に対して、リアルタイム翻訳、字幕、議事録が作成できることなどを紹介した。
Webexでは、発言者の話している内容をAIエンジンが認識し、日本語で字幕をリアルタイムに表示することができるようになる。画面左下にある下矢印をクリックし、話している言語に日本語を選択し、同様に画面左下にあるCCのボタンをクリックすれば、字幕表示が開始される。字幕の位置や文字サイズの変更も可能だ。この機能は、13言語に対応しているという。
「録画をしておけば会議後も字幕を確認できる。会議中に表示される『字幕とハイライト』を見れば、これまで会議で話された字幕データの履歴が表示され、見返すことができる」という。
また、話している日本語の内容を翻訳して、リアルタイムでほかの言語に翻訳して字幕を表示することもできる。これも画面左下の下矢印をクリックし、「字幕で表示される言語」を選択。参加者が別々に異なる言語の字幕を表示することが可能だ。ここでは108言語に対応している。
日本語字幕をリアルタイムで表示するさらに、過去に開催したミーティング情報一覧では、文字起こし機能を使用した場合に、ファイルには「議事録」と表示されており、文字起こしのデータも保存していることを表示する。このデータから、会話履歴を確認したり、テキストファイルとしてダウンロードすることもできる。大切な発言には「ハイライトに追加」することができ、ハイライトを見るだけで、効率的に会議内容を確認できるといった使い方も可能だ。これらのデータは、主催者以外に転送することも可能であり、会議に参加できなかった人も短時間で内容確認が可能になる。
字幕表示されたデータも保存できる英語の字幕機能や録画の議事録機能は、Webexの標準ライセンスのなかで利用できるが、日本語を含む多言語の字幕機能やリアルタイム翻訳機能、リアルタイム録画機能、録画議事録、ハイライト機能を利用するには、リアルタイム翻訳ラインスを別途購入する必要がある。現時点では価格は公表できないとしている。無償でのトライアルは用意する予定だ。
リアルタイム翻訳により英語の字幕を表示「これらの機能は、会議中に文字起こしをするだけでなく、会議前、会議後も利用でき、効率化することを目指している点が特徴だ」と述べた。
また、Webexの新機能として、特定の人物のみを配信したり、話者だけを配信したりといったことも可能にした。これは、テレビのようなレイアウトで配信したいというニーズに対応し、主催者が見せたいレイアウトに自由に変更できたり、見せたい画面を強制的に配信するなど、イベントに合わせてカスタマイズできるものだ。
さらに、Webex EventsとSocioとの組み合わせによって、最大10万人規模のハイブリッドイベントの運営と配信が可能になるという。
「他社のツールでも10万人規模や1万人規模のイベント開催、ウェビナーの開催は可能だが、Webexでは、Socioでは申し込みページの作成やアンケート集計などの機能をパッケージ化しており、経験がない人でも簡単に大規模イベントが開催できるようにしている点が特徴だ。11月18日から開催するオンラインイベントのWebexOne 2021は、Socioを利用してイベントを開催する」という。
さらに、シスコの大野部長は、「ハイブリッドワークになったことで、新たな問題点が生まれてきた」と指摘。「それぞれが家から会議に参加する場合には、誰が話をしているのかが明確だが、オフィスの会議室から複数人が参加してオンライン会議を行うと、誰がしゃべっているのかがわかりにくく、誰が参加しているのかがわからないという状況が生まれる。その理由は、80%の会議室は、3~4人の参加者に最適化したカメラやマイク、スピーカーが設置されていない点にある。シスコでは、要件や予算にあわせて選んでもらえるようなデバイスをラインアップしていく」と述べた。
WebexOne 2021においては、会議室への持ち運びが可能なコンパクトタイプのデバイスと、画面に直接書き込むことができ、大人数でも会議が行いやすいデバイスなどを発表する予定だという。
また、「これまではひとつの会議ツールにしかつながらないという制限があったが、シスコでは、これを改善していきたいと考えている。新たなデバイスは、オフィスの会議室に入った際に、Webexだけでなく、Zoom、Teams、Google Meetにも接続できるようにしていく」と述べた。
加えて、自宅のネットワーク環境やセキュリティ対策が求められるハイブリッドワーク化の進展に伴い、情報システム部門には、トラブル対応、運用管理、セキュリティ強化といった課題が生まれていることを指摘。シスコでは、無償のコントロールハブを利用して、管理者が、利用率や端末の状態、会議のコンディションを全て確認できるとし、「Cisco MerakiやThousand Eyesとも連携し、エンド・トゥ・エンドで、通信を全て可視化することで、どこに問題があるのかを検知できるようになる。安定したオンラインコミュニケーションの実現を支援することができる」と述べたほか、「新たなPersonal Insights機能を利用すると、いつ、どこで、誰とコミュニケーションをし、会議ではどれぐらい発言しているのかといったことも可視化できる。よりよい働き方を見つけることにもつなげられる」と述べた。
シスコでは、東京本社のほか、札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡の各拠点に、Collaboration Show Caseを開設し、Webexソリューションを体験できるようにしていることも示した。