AT&T版iPad mini Retinaディスプレイを使いはじめて、約2カ月。昨年購入したVerizon版「iPad Retinaディスプレイ Wi-Fi+Cellularモデル(iPad 4)」とほぼ同じ環境が構築できてきたことで、外出時や出張時も含め、常に持ち歩くようになってきた。
国内での移動中や出張中については、IIJmioの『mio高速モバイル/D』のSIMカードによるNTTドコモの回線(LTE)か、公衆無線LANサービスなどの利用が中心で、たまにテストも兼ねて、スマートフォンのテザリングやモバイルWi-Fiルーターでつないでみることもある。
海外については期間と費用を考慮して、利用環境を選ぼうと考えている。たとえば、先般、連載で触れたシンガポールは滞在時間が短かったうえ、移動中の通話やメール、地図やWebページのチェック、SNSへの投稿など、基本的な用途はスマートフォンで済んでしまうため、iPad mini Retinaディスプレイを使いたいときはスマートフォンのテザリングを利用し、あとはホテルや空港のラウンジのWi-Fiに接続するだけで済ませた。ちなみに、ホテルなどのWi-Fiは暗号化されていないオープンなWi-Fi環境が多いが、以前、本コーナーの「iPad 4のWi-Fiをどこでも安全に」でも取り上げた「VPN Express」(iTunes Store)を現在でも継続して利用している。また、同様のVPNサービスはSymantecが「Norton Hotspot Privacy」という名称で提供しているが、今のところ、日本法人では提供されていない。
タイ・スワンナプーム空港の一般エリアにある「AIS」のカウンター。すぐ隣に同じくタイの携帯電話事業者「dtac」のカウンターもある今回契購入したのは7日間で299バーツ(約1000円)で1GBまでデータ通信ができるプラン。ちゃんとnano SIMカードも在庫があった。まったく同額で音声通話が可能なスマートフォン向けのプランも提供されている一方、AT&T版iPad mini RetinaディスプレイはSIMフリーであるため、当然のことながら、渡航先でプリペイドSIMカードを購入して使うこともある。たとえば、2月はタイのバンコクに出かけたが、このときはAISという現地の携帯電話事業者のプリペイドSIMカードを購入した。タイはプリペイドSIMカードが非常に購入しやすく、コスト的にも割安な場所であり、空港の到着ロビーを出たところにある各社のカウンターですぐに購入することができる。設定などもiPadのようなメジャーな機種であれば、日本語表示のまま、目の前ですぐにやってくれる(と言ってもAPNに簡単な文字列を入力するだけだが……)。空港に着いて、SIMカードを購入して、すぐに使いはじめられるため、市内への移動するバスに乗っている間に、フライト中のニュースやSNSのタイムラグを埋めることができる。
こうしたプリペイドSIMカードは一定の料金に対し、利用できるデータ通信量や期間が決められている。たとえば、「○日間で、○MBまで」といった具合いだ。多くのプリペイドSIMカードの場合、自分がどれくらい利用したかという情報や残高を知るために、特定の電話番号にSMSを送信し、結果が各携帯電話事業者からSMSで返信されてくるという仕組みを採用している。しかし、iPadのように、SMSをサポートしていない機種のときは、プリペイドSIMカードをスマートフォンなどに差し替えたり、各携帯電話事業者のWebページに登録するなど、ちょっと工夫しなければ、情報を参照できないケースが多い。
ところが、スマートフォンやタブレットが普及したおかげで、こうしたSMSを利用した確認サービスのほかに、各携帯電話事業者がiOSやAndroidプラットフォーム向けにアプリを提供することが増えている。たとえば、今回利用したタイのAISは「AIS eService」というアプリを提供しており、滞在中に利用したデータ通信量の確認や残高照会などに使うことができた。
ただ、注意が必要なのが言語で、アプリをダウンロードして、起動すると、見慣れないタイ語の文字が表示される。最初は何が何やら、まったくわからなかったが、メニューをいろいろ試していると、[TH]というボタンがタイ語を表わし、そのボタンを押すと、表示が[EN]になり、英語表記に切り替わることがわかった。そう言えば、今から十数年前、本誌編集長とドイツに取材で行ったとき、現地で購入したプリペイド携帯電話の画面がドイツ語表記で、言語設定を切り替えるために日独辞書で「言語」を意味する「Sprache」を探したことがあったけど、当時に比べれば、随分とラクになったもんです。
アプリを起動すると、いきなりタイ語が……。数字やアルファベットはわかるけど、その他は何が何やら……左側のメニューの歯車のアイコンが設定画面なので、そこで[TH]ボタンを押すと、英語表記に切り替わる。有効期限などの表記も正しく表示されたこうしたプリペイドSIMカード向けのアプリは、タイだけでなく、さまざまな国と地域の携帯電話事業者が提供している。SMSを使った仕組みも便利だけど、アプリを起動するだけで残高や利用期限などを確認できるのはよりビジュアルでわかりやすい。iPadに限らず、各地でプリペイドSIMカードを購入したときは、一度、App StoreやGoogle Playなどの各アプリストアで携帯電話事業者名を入力して、専用アプリを探してみるといいかもしれません。
日本ではバンコクの反政府デモや非常事態宣言などがセンセーショナルに報道されているけど、中心街の一部の大通りが封鎖され、集会が行なわれているだけ。現地の人も含め、お店なども平常通り、営業していた封鎖されている通りには露店がたくさん出店されていて、どちらかと言えば、縁日というか、お祭りのような雰囲気。要所、要所には警官や警備員が立っていて、街歩きをしていてもほとんど不安はない