アップルのようなハイテク大手は、自ら研究開発や製造・販売を行わず、多数の特許を買い集めてそれらを侵害している可能性のある企業を訴えてライセンス料を取ろうとする「パテントトロール」の標的とされることがよくあります。その中の1つの訴訟で巨額の支払いが認められた件について、アップルがそれを強要されれば英国市場から撤退するかもしれないと示唆したことが報じられています。
本訴訟はOptis Cellular Technology社がアップルに対して、自社の「標準化された」スマートフォン技術(3GおよびLTE関連の特許)を使用したことに対して70億ドル(約7700億円)ものライセンス料の支払いを拒否したため、特許侵害で提訴したというものです。これに対して先月、英国の高等裁判所はアップルに特許侵害があったと認定しています。
同じ特許に基づく訴訟は米国でも提訴されており(Optis Wireless Technology、Optis Cellular Technology、Unwired Planet、Unwired Planet Internationalを含む5社の共同)昨年8月に5億600万ドル(約600億円)の特許料支払いの命令が下されたものの、控訴審で判決が覆されています。米MacRumorsはこれら5社が、事業の実態がないパテントトロールだと指摘していました。
今回アップルが問題視しているのは、訴訟では英国の特許侵害のみが検討されたはずが、判決では全世界で販売されたiPhoneを対象とした金額が設定されていることです。そのため、米国での判決の10倍以上もの支払いが命じられているわけです。
これに対してアップル側の弁護士は、もし裁判所がiPhoneで使われている技術に対して「商業的に受け入れられない」特許使用料を支払うよう強要すれば、英国市場から撤退する可能性があると警告した次第です。もしもアップルが英国市場を放棄すれば、理論的には支払いから逃れることはできる見込みです。
裁判官は「アップルが本当に英国市場から撤退する可能性があるという証拠は全くないですよね?」と問いかけ、これにアップルの弁護士は「それが正しいかどうかはわかりません......アップルの立場としては条件を熟慮して、それを受け入れることが商業的に正しいのか、あるいは英国市場から撤退することが正しいのかを決められるはずです。裁判所が設定した条件の中には、商業的に受け入れられないものもあるかもしれません」と答えたとのことです。
アップルが決して小さくはない英国の市場から撤退し、iPhoneの販売ばかりか販売済みiPhoneのサポートまで止めてしまうのは常識的には考えにくいことです。しかしアップルは以前から「技術革新を侵害する」との理由からEU規制当局に特許トロールを抑止するよう要請しており、裁判所が歩み寄らなければ、万が一ということもありうるのかもしれません。
Source:This is Money
via:9to5Mac
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