1万9673円(税別)という、2万円を切る価格で5Gに対応したスマートフォン「Redmi Note 9T」が日本で登場します。ソフトバンクの独占発売とはいえこの価格は激安でしょう。
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ちなみに筆者の居住する香港でRedmi Note 9Tは1599香港ドル、約2万1600円。日本の税込み価格とほぼ同等ですが、日本向けはFelicaに対応するなどローカライズが施されています。グローバル向けの製品とは違い、日本のみに対応したモデルをこの価格で出してきたとは脅威としか言いようがありません。
昨年シャオミが日本で発売した「Redmi Note 9S」は税込み2万4800円。この値段も格安と感じましたが、Redmi Note 9Tはさらに安いわけです。ちなみに中国ではRedmi Note 9Tの中国版と言える「Redmi Note 9 5G」が1299元、約2万1100円で販売されています。Redmi Note 9Tは4800万画素+200万画素マクロ+200万画素深度測定というカメラですが、Redmi Note 9 5Gは4800万画素+800万画素超広角+200万画素マクロという構成です。
ここまで安くて5Gに対応するとは信じられない気もしますが、海外、特に中国では同程度の価格の5Gスマートフォンは続々と出てきています。Redmi Note 9 5Gと同価格またそれ以下のスマートフォンはOPPOの「A53」やRealmeの「V3」「Q2i」などがあり、いずれもメディアテックのDimensity 800U、またはさらに下のモデルとなるDimensity 720を搭載。メディアテックが5Gスマートフォンの価格破壊を次々と引き起こしています。
5Gスマホがここまで安くなった理由
ここまで安い5Gスマートフォンが出てきたのは中国市場の5Gユーザーが爆発的に増えているからです。2019年11月に5Gサービスが始まった中国では、2020年末時点で3キャリアのうちの1社、中国移動だけで5Gユーザー数は1億6000万人。すでに日本の人口を超えています。
同社の全加入者は9億4200万ですからまだ5G普及率は17%に過ぎません。今後も加速度的に5Gユーザーが増えていくでしょうが、多くの消費者が求めているのは価格の安い5G端末です。日常的に使うなら、Redmi Note 9Tクラスの製品で困ることは無いでしょう。
2021年1月にクアルコムがSnapdragon 480を発表しましたが、初採用したVivo「Y31s」は1698元(約2万7500円)と、Dimensity 800U / 720搭載モデルほど安い価格は実現されていません。もちろんチップセット以外、ディスプレイやカメラ、メモリ性能も比較しなくてはならないでしょうが、Snapdragon 480は中国の激安5Gスマートフォンに使われることは無さそうです。
低価格な5Gスマートフォンは中国など新興国向けの製品と思われるでしょうが、シャオミが日本でRedmi Note 9Tを出したことからわかるように、先進国でも十分需要はあります。低価格5G端末は同程度の価格の4G端末の存在価値をなくししてしまい、ユーザーの5G利用を促す製品となるわけです。5Gユーザーを増やしたい通信キャリアにとって、格安5Gスマートフォンは魅力的な存在です。
しかもシャオミは4Gモデルとして「Redme 9T」を1万5900円(税別)で投入。Redmi Note 9Tはキャリアモデルであり、かつこれでも高い、と思う消費者により安い4Gモデルを提供。価格に敏感な層の目を一気に惹きつけようとしているわけです。
スマートフォンが日常生活の必需品となったのは、スマートフォン上で利用されるサービスが社会インフラ化したこともありますが、スマートフォンそのもののスペックの底上げが進んだことで、ほとんどの人がスマートフォンを使ってコミュニケーションを図ることが困難ではなくなったからでしょう。Redmi Note 9Tには超広角カメラはありませんが、それで生活に支障が生じることはありません。SNSやWEB検索をする程度なら動作も困ることはないでしょうね。
自動車で言えば「ある程度荷物も積めてそこそこ長距離も走れる軽自動車のバン」のようなもの。スポーツカーが欲しい人は、同様にハイエンドなスマートフォンを買えばいいだけのことです。ですから10万円を超えるハイエンドスマートフォンはこれからも無くなりませんし、一方で生活ツールとしてスマートフォンを使いたい人にとっては、価格は安ければ安いほうがいい、ただしストレスなく動く性能は持っている、という製品を求めていくでしょう。スマートフォンの二極化がこれからより進んでいくと思われます。
中国では国産チップセット、UNISOCのT7510を搭載するスマートフォンが2020年後半から急増しています。中国キャリアの1社、総加入者数3億5100万人、5G加入者8650万を擁する中国電信は「天翼一号」「天翼一号2021」という1000元(約1万6200円)前後の激安スマートフォンにT7510を採用、キャリアモデルということで自社の4G加入者の5G移行を促すツールとして販売しています。
通信キャリア自らが低価格な5Gスマートフォンを投入するのは、今回のRedmi Note 9Tを販売するソフトバンクも同じことを考えているのでしょう。
日本の5Gは利用エリアが狭く、5Gの特性を生かしたサービスはほとんど使われていないでしょう。そのため5G端末はハイエンドスマートフォンとして、スマートフォンそのものの性能を活用するための製品として販売されているのが実情ではないでしょうか。
しかし5Gのエリアが広がれば、「高速で」「多人数が同時に」「低遅延で」ネットアクセスできます。同じエリアで1000人が同時にYouTubeを見ても再生画質が落ちることがないわけです。そうなった頃には、5Gスマートフォンは特別な存在ではなく、日用品としてコンビニで買えるくらいの手軽なものになっているでしょう。
Redmi Note 9Tは2021年の今でこそ画期的な格安5G端末に見えますが、数年もすれば当たり前の存在になっているはずです。2021年は「5Gスマホの日用品化元年」といえるかもしれません。
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