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Galaxy Note9レビュー:1,000ドルなのには意味がある

書かれた 沿って mobilephonebrand

スマホの限界を超える。

最近でこそ少しずつ中国のメーカーに追いつかれつつあるSamsung(サムスン)ですが、Galaxy SシリーズとNoteシリーズの性能は誰もが今でも認めるところです。そして今年のNote9は……どうやら今持てるすべての技術を詰め込めるだけ詰め込んだバケモノに…。米GizmodoのSam Rutherfordがレビューしてくれました。


初めて発売されて以来、Galaxy Note(ギャラクシー・ノート)の一番の特徴といえば、その巨大な画面でしたね。しかし他のメーカーがその流れに乗り出して、ほとんどのスマホの画面が6インチ前後で統一されるようになると、Noteの放っていた魅力に陰りが見えだしてきました。そこで新しいNote9に対する疑問はひとつです。このご時世、1,000ドル(約11万円)もするデカいフラッグシップ機に、どんな意味があるの?

Galaxy Note9

これはなに?:巨大でパワフルで、高価な6.4インチの携帯。

価格:1,000ドル(約11万円)から。8GBのRAMに512GBのストレージのハイスペック版が1,250ドル(約13万8千円)

好きなところ:長い電池持ち、リモコンのように使えるS-Pen、使いやすいDexモード、最高の画面、強力なスペック

好きじゃないところ:Android 9 Pieではない、新しい色をのぞいてデザインが変わっていない、Bixbyボタンを変更できない

Samsungの答えは、「すべてを提供する」ことでした。その様はまるで、やりすぎ感満載のフェラーリ・ストレッチリムジンに、フェラーリ本来のパフォーマンスを取り戻し、ミシュラン3つ星レストランにしか見られないような細部までの拘りですべてを見直したかのようです。その結果、本来であればGalaxy S9+にS-Penを刺しただけのものになるはずが、スマホに詰め込める限界の象徴となりました。

すべてがトップレベルになった内部スペック

Note9は画面が6.4インチ(S9+より0.2インチ大きい)となり、さらにいま市場に出ているスマホのどれよりも鮮やかでカラフルな色を表現しています。SamsungがGalaxyやiPhone Xにも画面を提供していることも考えると、これは相当な快挙です。

内部に関しては、6GBのRAMに128GBの標準ストレージを備えており、よりハイエンドな1,250ドルのモデルでは8GBのRAMに512GBのストレージとなります。つまり、バックグラウンドのアプリを閉じる必要がなくなるのでマルチタスキングが捗り、容量不足を気にせずアプリを沢山インストールできるということです。

しかも512GBのmicroSDカードを挿せば1TBのストレージをもつスマホへと進化します。もちろん、ほとんどの人はそこまで必要ないでしょう。でも、せっかく1,000ドル払っているのだから、どうせなら徹底したいと思いません?

高スペックを支える、強力な冷却システム

また、SamsungはNote9の冷却システムにもこだわり、Galaxy S9やNote 8の3倍も大きいカーボンファイバー製のヒートスプレッダを備えています。つまり、Note9に搭載されているSnapdragon 845プロセッサがより自由に、より長い時間高いパフォーマンスを保ったまま稼働できるということです(Geekbench 4のスコアも若干上がり、S9+の8,414に対して9,012という高スコアを出しています)。

それをテストするため、まずはベンチマークテストを一通り行なった後、Note9とGalaxy S9+で立て続けにバトロワゲームの『Fortnite』を数ラウンドプレイし、3DMarkのSlingshot Extremeグラフィックテストを数回行ない、Torrentファイルをいくつかダウンロードしました。要は、できる限り発熱させるためのストレステストを行なったのです。

その後改めてGeekbenchを使い、パフォーマンスがどれだけ熱によって影響されたかをチェックしました。結果、一方S9+は25%ダウンの6,171で、Note9はたった約10%ダウンの8,053でした。ただ、グラフィックパフォーマンスはNote9の冷却システムの恩恵をそこまで受けないようで、3DMark Slingshot Extreme Unlimitedをもう一度走らせたところ、Note9が4,974、S9+が4,923となり、それぞれ5,021と5,033からほぼ同じだけ落ちました。

デザインはほぼ変わらず

私が個人的にSamsungに望んでいたのは、少しでもいいからNote9の外見デザインを変えることでした。でも、オーシャンブルーや(Galaxy S9のライラックとほぼ同じである)ラベンダーパープルなどの新しいカラーリングをのぞくと、去年のモデルとの唯一の違いは、気のせいとも思える程度の加重だけです。

カメラはソフト面で進化

またSamsungはカメラの画像プロセッサを1から作り直したと言いますが、ハードウェアの面から言うと、背面の12MPデュアルカメラはS9と変わりありません。ただ、カメラアプリには2つの機能が追加されました。まずは「シーン最適化」で、Huawei(ファーウェイ)やLG(エルジー)のスマホにも見られた機能です。画像認識技術によって物体を識別し、それに合わせてカメラの設定を自動調節します。マシーンラーニングを利用するのは最早珍しいことではありませんが、頻繁に撮影されるタイプの写真のクオリティを向上させるのには確かに役立ちます。

Galaxy Note9レビュー:1,000ドルなのには意味がある

ここで一言:Pixel 2のカメラが最高のスマホカメラだと騒ぐ人は、いい加減止めるべきです。iPhone X、Pixel 2、Huawei P20 Pro、Galaxy Note9の中で、100パーセントの勝率で競争相手に勝てるスマホはありません。あるいは75パーセントでも難しいかもしれません。ひとつ言えるのは、Googleの優秀なHDR+プロセッシングによって、明るい日中の撮影ではほんの少しPixel 2がNote9を上回りますが、暗い場所ではNote9がPixel 2 XLに勝る場面がいくつもありました。

たとえば近所の教会で撮った写真ですが、Note9の写真は色の鮮やかさやノイズの少なさ、シャープなディテール、明るさなどすべての面で優秀でした。スポットライト2つが照らしていたので、そこまで暗かったわけではありません。

夜にレストランで撮った写真でも、特に背景のノイズの少なさや物体の鮮明さでNote9が秀でました。どちらの状況でも、Note9のシーン最適化機能は夜間の撮影であると正確に判断しており、最大口径がf/1.5ということもあってNote9が勝利したのです。

でも、私がもっとも関心したのは雨の中で撮影した時です。どちらのスマホも、これらの写真がスマホで撮られたと一年前の私が聞いたら、さぞビックリしていただろうと思うほどの写真を生み出しました。どちらが良いかを選ぶのは困難です。Pixel 2 XLはパーキングのコンクリートのテクスチャをよりしっかり再現していますが、Note9はフレーム中央を覆っている黄色をうまく取り除いています。Pixel 2がどうしてもNote9に敵わないものがあるとすれば、それはNote9の第2背面カメラの2倍光学ズームでしょうか。

しかし、Note9がどこでも完璧だったわけではありません。ケーキの写真を見てもらえばわかるように、Note9はホワイトバランスの調整をミスしただけでなく、ケーキを認識できませんでした。

もうひとつの新機能は「失敗検知」といって、撮った画像がうまくいっていないと取り直すよう警告してくれるものです。嬉しいオマケではあるのですが、この機能をもっと突き詰めて欲しかったと思います。今は、写真がボヤけていたり、レンズが汚れていたり、逆光だったり、あるいは撮られた人が目をつぶっていると失敗と認識してアラートを発します。

でもそれなら、シーン最適化機能のようにカメラの設定を自動で変えてくれても良いはずです。ブレを防ぐためにシャッタースピードをあげたり、逆光で対象が真っ暗にならないようフラッシュを付けたりといったことです。面白い機能ですが、使ってすぐに改善のアイデアが浮かんできました。

機能がさらに増えたS-Pen

Noteシリーズのもうひとつの特徴といえばS-Penで、Samsungはありがたいことに「エアコマンド」を残してくれました。翻訳機能や、非常に手軽にスマホでGIFアニメーションが作れる機能、そしてあらゆるものに楽しくスケッチできる機能などですね。しかしSamsungはそこで終わらせません。S-PenにはBluetooth Low Energy(省電力のBluetooth)が搭載されており、リモコンのように使うこともできるのです。

Note9の設定で、S-Penのボタンにアプリを開くショートカットが複数割り当てられるほか、長押しで前後のカメラを切り替えたり、素早い一度押しでスマホに触らずにシャッターを切ることもできます。細かいことのように思えるかもしれませんが、音楽やYouTube(ユーチューブ)動画をボタンひとつで一時停止できるということは、それだけ仕事と休憩の切り替えも早くなるので、私は非常に気に入っています。

ビジネスマンな方には、ペンのボタンでPowerpointのスライドが操作できるのもちょっとした便利機能だと思います。使ったことのない他人のコンピュータに頼ったり、自分のプレゼン中に切り替えを頼んだりする必要がなくなりますからね。

スマホの限界を超えてPCになるDexモード

ここで紹介したいのが、Dexモードです。これはNote9をモニターに繋げる事でデスクトップPCのように使える機能なんですが、以前より洗練され、セットアップもさらに簡単になりました。S8やS9でのシステムとは違い、モニターに繋げるために必要なのはUSB-C・HDMI変換アダプタだけです。

Samsungは公式では50ドルのドングルとDexパッドのみがサポートされた方法としていますが、厳密にいえばどんなアダプタでも大丈夫なはずです。あとはBluetooth対応のマウスとキーボードさえ繋げれば、あら不思議、完全なデスクトップ環境の完成です。

私的には、Dexモードは対戦ゲーム『Fortnite』でほかのプレーヤーをからかうのに最高だと思います。特にほかのモバイルプレーヤーは、反応の悪いタッチスクリーンコントローラーでしか立ち向かえないのですから(ただ、これを実行するには有線の周辺機器を繋げられるポートのついたアダプタを接続する必要があります)。

Huawei P20もUSB-C・HDMI変換アダプタを使う事で同じようなデスクトップ機能を使えますが、DexモードのUIの方が遥かに優秀で、好きな時にコンピュータに変身するスマホという夢にもっとも近づいたスマホであると思います。それと、お金の無駄だとは思うのですが、できればHP(ヒューレット・パッカード)のElite x3やMotorola(モトローラ)のAtrixのようにラップトップのドックをつくってほしかったですね。

電池の持ちは歴代最高(Android 9 Pieが待ち遠しい)

さて、これまで色々と性能について語ってきましたが、電池の持ちはどうでしょうか? 何を隠そう、これこそがNote9の最高なところなのです。持久力テストの結果は14時間11分で2位で、持久力のみを念頭にデザインされたAsus Zenfone 4 MaxだけがNote9に優っています。去年のNote8は、S8+よりも200mAh小さい電池でしたが、今回はS9+より約15パーセント大きい電池をNote9に搭載し、大きな違いを生みました。

ただ、これはNote9のもっとも大きな欠点にも繋がります:OSがAndroid 9 Pieじゃない事です。Note9の発売に数日先んじてGoogleの新OSがリリースされたということもあり、SamsungがGoogleと協力して新OSを搭載してくれるかと期待していたのですが、残念です。

Android 9 Pieで出来るようになった12のこと

より自分らしく使えるOSに。Android 9 Pieがついに完成し、まずはPixelデバイス、次にAndroid Pベータプログラムに参加してい...

https://www.gizmodo.jp/2018/08/android-9-pie-12-new-features.html

Pieには「App Actions」などの便利な機能のほかに、改善された音量コントロールや「バッテリーマネージャー」機能などもあります。特に、バッテリーマネージャーでNote9の電池持久力がさらに向上するというのは魅力的です。しかし、Note8がOreoを受け取ったタイミングなどを考えると、少なくとも数ヶ月先と考えるのが自然でしょう。

Bixbyは未知数

ひとつだけ、まだ試すのに時間が必要なのはBixbyでしょう。自然言語認識によって大幅に改善された音声アシスタントが、特別なアプリなしにチケットの購入やレストランの予約などに使えることは、Samsungによって紹介されていました。しかし、1週間以下という時間ではどれだけ学習できたか分かりませんでした。

で、Note9は買い?

さて、結論として、1,000ドル(約11万円)のNote9で何が手に入るのでしょう? スマホ史上最大でもっとも美しい画面、爆速のパフォーマンス、トップレベルのカメラ機能に電池耐久力。さらにS-Pen、Dexモード、追加可能なストレージ、平均的なラップトップ以上のRAMに、ヘッドフォンジャック、ワイヤレス充電、 IP68防水。これらが意味するのは、同クラスの中で最高のスマホです。

現在、Note9ほどにツールや機能、ちょっとしたトリックを詰め込めるだけ詰め込まれたスマホはありません。誰もが手を出せる値段ではありませんが、スマホの限界を超えたいという方にはそのチャンスを与えてくれるのです。

まとめ

・スタンダードで6GBのRAMに128GBのストレージを備え、よりハイスペックなモデルなら、平均的なラップトップすら上回る8GBのRAMに512GBのストレージを搭載

・シーン最適化機能によって、カメラはPixel 2にも匹敵するクオリティの写真が撮れる。また、失敗検知によって撮り損ねた時にはアラートを発してくれる

・S-Penは単純なギミック以上のものになる可能性を秘めているけど、そのためにはサードパーティの開発者の協力を得る必要がありそう

・14時間11分という驚異的な電池持久力。これまでのテストでは、Asus Zenfone 4 Maxに次いで2位

・1,000ドルは安くないが、強力なスペック、S-Pen、デュアルカメラ、大きな画面、Dexモードなど、今もっとも機能が詰め込まれたスマホ

・デスクトップのように使えるDexモードはさらに使いやすくなり、公式にはSamsungのドングルが必要だというが、USB-C・HDMIアダプタがあればOK