最大の120Hzの可変リフレッシュレート、リバース充電、オンスクリーンの指紋センサー…うちじゃみんな普通ですよ?と。
Samsung(サムスン)のGalaxyスマホラインは数年に1回大きくリデザインされてきましたが、今日発表のGalaxy S21、S21+、S21 Ultraもそんな大きなアップデートです。今回は2017年のGalaxy S8以来の大きなオーバーホールとなってます。
デザイン的には、Galaxy S21シリーズは今ある他のスマホと混同することはなさそうです。新しいデザインは好き嫌いが分かれるかもしれませんが、Contour Cutカメラや、ブラック、ホワイト、シルバー、パープル、ピンク(モデルによって少し違います)の新しいカラバリが特徴的です。
前面には中心にパンチホールセルフィーカメラ(S21とS21+は1000万画素、S21 Ultraは4000万画素)があり、S21・S21+に関しては今までと違ってディスプレイがフラットです。曲面の「エッジ」ディスプレイは、S21 Ultraだけになってます。またS21ラインはすべて、画面リフレッシュレートが最大120Hzとなり、かつ見ているコンテンツに応じて変動します。静止画を見ているときはリフレッシュレートが低くなってバッテリーをセーブしつつ、ゲームをプレイしてるときは高くなってより素早く反応できます。
でも多分最大の変化は内側にあります。Galaxy S21ではついにmicroSDカードスロットがなくなり、ひとつの時代の終焉を感じます。Samsungはストレージ拡張の自由という夢をGoogleより長く維持してはきましたが、やはりmicroSDカードスロットの廃止は長く検討してきたそうで、今はそのときが来たんだなと感じます。
microSDカードスロット廃止に対しては、古くからのGalaxyファンから反発もあると思います。その流れでLGやMotorolaといった他社に宗旨変えする人もいるかもしれません。でも泣いても笑ってもGalaxy S21にはもう拡張ストレージがなくなってて、Galaxyファンが総決起でもしない限り、来年のモデルで復活することもなさそうです。
またSamsungは、Appleに続いて充電用アダプターの同梱を廃止しました。今はみんなの家中にアダプターが転がってるので、この判断自体は理解できるんですが、Samsungは去年Appleを揶揄するようなポストをしてたので(あとで取り下げましたが)、舌の根が高速乾燥したんでしょうね。
ハードウェアに関しては、SamsungはExynos 2100チップのローンチをアピールしてたんですが、少なくとも米国のS21モデルにはQualcomm Snapdragon 888搭載で、フル5G対応です。より高速なアンロックを可能にすべく、すべてのS21モデルでオンスクリーンの指紋センサー搭載、センサーサイズは以前より1.7倍大きくなりました。有線・無線の高速充電も、リバース充電機能・Power Shareも、S21全モデル共通で標準となりました。
800ドル(約8万3000円)のS21と1,000ドル(約10万4000円)のS21+は、サイズ以外はほとんど同じスペックです。RAMは8GB、ストレージは128GBが標準で、背面のトリプルレンズカメラはメインと超広角が1200万画素、望遠が3倍光学ズームで6400万画素という布陣です。一番の違いは、S21が3モデルの中で一番小さい6.2インチ有機ELディスプレイでバッテリーが4,000mAh、S21+は6.7インチ有機ELディスプレイに4,800mAhのバッテリー、UWB(超広帯域)接続をサポートしてます。Samsungいわく、UWBはS21には価格的に搭載できなかったとのこと。
S21とS21+のディスプレイに関して興味深いのは、どちらも最大120Hzの可変リフレッシュレートなんですが、解像度はS20とS20+の3200 x 1440からちょっと下がって、2400 x 1080になってることです。なのでS21とS21+に関しては、QHD+からフルHD+にダウングレードしてます。
一方Galaxyラインの最高峰に位置する1,200ドル(約12万4000円)のGalaxy S21 Ultraは相変わらずすごいスペックで、RAMは12GB、ストレージは128GBか256GB(さらに高額バージョンはRAMが16GB・ストレージが512GB)、6.8インチQHD有機ELパネル、背面カメラは4眼(うちふたつが望遠)で、1億800万画素のメインカメラ、1200万画素の超広角カメラ、1000万画素・3倍光学ズームの望遠カメラ、そしてもうひとつ1000万画素・10倍光学ズームの望遠カメラという構成です。おまけにレーザーオートフォーカスセンサーも搭載し、超シャープな写真撮影を後押しします。
S21 Ultraのディスプレイも最大120Hzの可変リフレッシュレートですが、変動幅は10〜120Hzとなっていて、48〜120Hzで変動するS21やS21+より大きく変化するようになっています。…といっても字面的には微妙な差なので、実際使ったときにどういう違いが出るのかはまだわかりません。
さらにS21 Ultraでは噂通りスタイラスもサポートされ、Galaxy Noteシリーズで好評を博しているSペンの機能を使えるようになります。ただ問題は、スタイラスとそれを収納できるケースは別売りってことです。Sペンは40ドル(約4,100円)、Sペン対応ケースとのバンドルは50ドル(約5,200円)です。ファンシーなフリップカバーとSペンのセットは70ドル(約7,300円)となっています。
最後に、ソフトウェア機能もたくさん追加されました。カメラアプリでは新インターフェースのDirector's Viewが追加され、いろんなカメラを簡単に切り替えられるようになってます。またシングルテイクモードでは、動的なスローモーション動画も撮れるようになりました。ポートレートモードもアップデートされ、より被写体を強調しやすくなってます。またズームカメラをフル活用すべく、Zoom Lock機能ではAIを使って被写体を捉えやすくしています。
動画に関してはvloggerモードが追加され、前面・背面カメラでの同時撮影が可能になりました。8K動画撮影しつつ静止画も撮れる8K Snap機能も追加。さらに、Galaxy Buds Proと連携した複数マイクでの録音にも対応しています。
今年のGalaxy S21の発表は今までで最速のタイミングでしたが、中身もこの通り盛りだくさんで、Samsungが2021年にかける意気込みが感じられます。デザインの一新、120Hzの可変リフレッシュレートスクリーン、microSDカードスロット廃止などなど、Galaxyシリーズが新時代に入った感じがしてきます。スタンダードなS21は800ドル(約8万3000円)とAppleのベースモデルであるiPhone 12と同価格で、勝負に出てますね。
Galaxy S21、S21+、S21 Ultraはそれぞれ800ドル(約8万3000円)、1,000ドル(約10万4000円)、1200ドル(約12万4000円)で本日プレオーダー開始、出荷は1月29日開始です。
米国ではS21シリーズをプレオーダーした人に、30ドル(約3,100円)のSamsung SmartTagもおまけで付けてます。Samsung SmartTagはTileみたいなBluetoothベースのトラッキングタグです。このへんも、いつ出るかわからないAppleのAirTagに対し先手を打ってますね〜。