通信設備の世界大手、中国のファーウェイ(華為技術)が、メディアをにぎわせている。ファーウェイの機器類から情報が窃取されているのではないか、という、いわゆるスパイウェア、バックドア疑念だ。アメリカや日本ではファーウェイ外しが進む一方、EUでは排除しないという動きになってきており、外からは何が起きているのかわかりにくい。そこで、今回、ファーウェイの中の人である、ファーウェイ・ジャパンの赤田正雄キャリアネットワークビジネス事業本部CTOをはじめとする関係者に「本当のところ」を聞いてみた。
坂口孝則(以下「坂口」):ファーウェイの報道が、よくも悪くも目につきます。よく、とは成長率が高く、研究開発費も多額である点。そして、悪く、とは製品に情報窃取機能があるのではないかという点。私が知りたいのは後者です。もちろん技術的に難しい話にもなるのでしょうが、わかりやすくかみ砕いて教えてください。
赤田正雄(ファーウェイ キャリアネットワークビジネスCTO、以下「赤田」):まずEUの状況をお話しします。イギリス政府はセキュリティに懸念を抱いてきました。これは今に始まったことではなく、2000年ごろからインターネットが伸びていく中で、悪意のあるなしにかかわらず「中国製品で大丈夫か」「重要インフラに使えるのか」とイギリス政府は思っていました。そこでイギリス政府と共同で2010年に設立したのが、Huawei Cyber Security Evaluation Centre(HCSEC)です。そこでソースコードをすべて公開しています。
坂口:その検証を実施するのは?
赤田:ファーウェイがやったら意味がないので、イギリス政府通信本部(GCHQ)の管理下でDV(Developed Vetting)認証、つまりイギリス政府の機密情報を扱う最高レベルの資格を持つイギリス人がやっています。すべて公開しているので、もはやイギリスでは、情報窃取機能のバックドアなんていう話は出ていません。「ソースが古いぞ」とか「冗長だぞ」といった指摘が大半です。