イベントレポート
CEATEC 2021 ONLINE
独創的な技術も目立ったCEATECの注目ブースを紹介する10月19日~22日に完全オンラインで開催中の「CEATEC 2021 ONLINE」。今年も多くの企業・団体がブースを出展しているが、この記事では、中でも特に気になったブースを、カテゴリーを問わずまとめて紹介したい。
CEATEC 2021はカテゴリごとに縦割りされているが、本記事ではその辺を無視してざっくばらんに紹介していく。リアル開催の時には会場内をなんとなく散策して、面白い技術や商材を発見していた読者もいると思うが、そんなノリだと思ってもらいたい。あくまでブースの詳細ではなく、見どころをまとめているので、気になるブースがあったなら、実際のブースで確認してもらうのがいいだろう。
なお、INTERNET Watch編集部では、ほかにも5G関連の見どころや、テレワーク・働き方改革関連の見どころ、カーボンニュートラル関連の見どころなどもまとめているので、関連記事を参照いただきたい。
クリムゾンテクノロジー株式会社のブースに出展されていた「brAInMelody(ブレインメロディ)」は、自身の脳波を元にAI自動作曲する技術。流れとしては脳波を計測しながら音楽をいくつか聴き、サーバー側で感情モデルと合致した作曲ルールを作成するというもの。遺伝的アルゴリズムと共生進化によって自動作曲が行なわれる。また自動作曲された音楽を元に、またサーバー側で自動作曲をすることも可能。特定個人のイメージBGMのほか、入眠や起床時の音楽といった用途も考えられている。なおヘッドギアは非侵襲型。
株式会社スリープセレクトのブースに展示されていたのが、進化するマットレス「Smart Air Sleep」。これは、頭部・腰部・脚部の場所ごとに硬さを独立して調整できるというもの。マットレス内にはエアー・セルと呼ばれるモジュールがあり、その空気圧を調整することで硬さを調整し、その日の体調に合わせたベストな硬さで睡眠できるという。またトップレイヤーは中反発ウレタン、マットレス表裏で異なる素材を採用するなど、マットレスとしての性能を追求したうえで、スマート機能を追加している。
奈良県IoT推進ラボのブースに展示されていたのが、日本計測システム株式会社の「食感試験機 TEXシリーズ」だ。これは、食感を数値化できる計測機器で、食品の特徴のひとつである食感を数値化することで、子供や老人が安全に嚥下できるかどうかなどを判断する。硬さ、付着性、凝集性、脆さ、弾力性、咀嚼性、ガム性、粘着力に対応。過去の事例にはゼリーや豆腐の硬さのほか、ドライフルーツの硬さの試験データも公開されている。
山梨県IoT推進ラボのブースで展示されていたのが、株式会社スクーミーのIoTキット「スクーミー」だ。これは、乾電池で動作するスクーミーボードに、キットに同梱されている各種センサーやLED、マイクを取り付けることで、誰で簡単にIoT機器を組み立てられる学習キット。すでに導入している学校も多く、目にしたことのある読者もいるだろう。プログラムはビジュアルプログラム言語を採用し、20種類のブロックを組み合わせて、作成したIoTデバイスにあったプログラムを作成できる。手頃な価格である点も魅力。
華為技術日本株式会社(ファーウェイ・ジャパン)のブースで展示されていたのが、プレハブ式データセンター。これは、機器モジュールと電源モジュール、補助モジュールを組み合わせて、設置要件に合ったデータセンターを短期間で構築できるソリューション。モジュールは工場でプレハブ化され、またテスト済みである点もアピールされており、現場での作業量を減らすことができる。中小規模だけでなく、大規模データセンターにも対応しており、こちらもモジュール式でレゴブロック組立方式を採用している。なお、25年の長寿命、耐腐食、防塵、防水設定ともある。
シャープ株式会社のブースでは、昨年のCEATECにおいてニューノーマルソリューションズ部門でグランプリを獲得した「透明ディスプレイパーティション」を、さらに進化させて紹介。透過率約60%のディスプレイ上で、透過と散乱を切り換えることで、文字や絵などの情報を表示できる。現在のラインアップは31.5インチのみだが、シャープとしてはガラスの代替としてや、建材、車載などもターゲットにしている。また静電ホバータッチによる非接触操作機能も取り入れており、今後は実際に目にする機会が増えるかもしれない。
マウザー・エレクトロニクスのブースでは、半導体や電子機器を取り扱うマウザーが開催するマウザーDIYモノづくりコンテストの最終審査動画を公開している。そのファイナリストのひとつが、自動お酌マシーンDozoーDozoである。職場におけるお酌は義務的なものがあり、その面倒なタスクを機械に任せてはどうかという、多大に頷くばかりの理由から開発されたという。徳利の代わりに、竹筒を採用する雅なビジュアルだ。竹筒内のお酒がなくなった際には、重量センサーとサーボモーターのデータをI2C通信で送り、蠕動運動ポンプを利用して瓶からお酒を補充するという凝った仕組みだ。
THK株式会社のブースでは、サービスロボット「SEED-R7シリーズ」が紹介されていた。これは、メカ設計と電気・電子制御、基本ソフトを1セットにしたソリューションで、サービスロボットの負担を大きく減らせるのが魅力。ユニットのひとつ、等身大上体ヒューマノイドSEED-Noidでは、20軸のアクチュエータを搭載し、USBデバイスとして認識されるため、取扱いもラク。また等身大サイズにより服を着せることもできるため、カスタムのしやすさも魅力といえるだろう。このほか、組み合わせ可能なアームやリフター、全方向移動台車などもあり、実装先に応じてのハード的なカスタマイズにも対応する。