米NVIDIA(エヌビディア)による英Arm(アーム)の買収に伴い、2020年9月14日(米国現地時間)、報道機関とアナリスト向けに2回目の電話会議(カンファレンスコール)が実施された。1回目と同じく、NVIDIA President and CEOのJensen Huang氏とArm CEOのSimon Segars氏が報道機関やアナリストからの質問に答えた。その中で、(1)NVIDIAによる買収で米国の輸出規制がArmの事業にどう影響を及ぼすのか、(2)Armの独立性や中立性はどうなるのか、(3)Armコアの競合とされるオープンソースのCPUコア「RISC-V」の扱い、(4)Armが開発するGPUコア「Mali」の提供は継続するのか、などについて見解を述べた。
関連記事: NVIDIA CEOが語るArm買収の意義、気になる「アキレス腱」(1)の米国の輸出規制に関しては、ArmのSegars氏は、以下のような見解を示した。まず、各国の輸出規制の影響を考える上で、どの国の企業かではなく、製品がどこで誰が設計したのか、どの程度時間をかけて開発したのかなどが重要だとした。Armは米国にも拠点があるものの、製品(半導体IP)の大部分を英国と米国以外の国で設計しているので、米国の輸出規制は大部分の製品で適用されないという。この原則は、「米国の企業が親会社になっても、変わらず、輸出規制の影響はほとんどない」(同氏)と説明した。
2019年10月の「Arm TechCon 2019」に登壇したArmのSegars氏(撮影:日経クロステック)[画像のクリックで拡大表示]ただし、Segars氏の見解通りにArmが今後も中国・華為技術(ファーウェイ)に半導体IPを提供することが可能だとしても、ファーウェイが半導体を開発・調達できなくなれば、ライセンス料やロイヤルティーに依拠しているArmの業績に影響が出る恐れがある。
例えば、Armアーキテクチャーを採用したファーウェイのスマートフォン向けSoC「Kirin 9000」は、米国の輸出規制が強化された20年9月15日以降、生産できなくなるとみられている。ファーウェイのコンシューマービジネスグループCEOである余承東(リチャード・ユー)氏は同年8月、Kirin 9000が同シリーズ最後の製品となる可能性に言及していた。Kirin 9000は、同年秋発売予定のハイエンドスマホ「Mate 40」に搭載する計画だった。