昨今の新型コロナウイルスの感染症拡大により急速なDX化が迫られるなど、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。その変化のなかで、自律的なキャリア形成を社員に求める企業が増えている一方、効果が測れないことが課題となっています。パーソルP&Tは、この課題を解決するべく、本業や複業(*2)を通じて得られた社員のキャリアを可視化し、蓄積するツール『プロテア』(https://www.persol-pt.co.jp/protea/)を提供しています。この度、『プロテア』に搭載されている「キャリア資産アセスメント(*3)」を基に、キャリア資産の傾向を調査し、その特性や課題が明らかになりました。(*1)マルチステージの人生を生きるために重視されている「無形資産」のこと。無形資産として代表的なものは、スキル、知識、友人、家族、肉体的・精神的健康、ネットワークなどが上げられる(*2)副業はメインになる本業が他にあることが前提で、サブとして収入を目的に行う仕事のことを指し、複業は複数の仕事を掛け持ちしながらメイン・サブという序列をあえてつけず「どれも本業」という考え方を指す(*3)キャリアを形成させる3つの資産項目(生産性資産・活力資産・変身資産)を『プロテア』では独自に要素分解し、各資産の蓄積状況を可視化している。詳細は参考資料を参照
■調査サマリ・大企業のキャリア資産が高いのは、働き方改革や人材開発などの効果が影響していると推察する・情報通信業は全てのキャリア資産が高い傾向にあり、金融業は変身資産が最も高い結果となった・研究・開発及び営業・販売、経営・役員等 、社外との接点の多い職種はキャリア資産が高い結果となった・複業実施者のキャリア資産は非実施者と比較し、すべてのキャリア資産項目が約1.2倍高い結果になった |
【法政大学教授 一般社団法人 プロティアン・キャリア協会代表理事 田中研之輔氏】~キャリア開発型の戦略人事の鍵を握るのは、キャリア資産の把握・分析と、キャリア資産を増加させるCX施策~今、企業現場に欠かせないのが、DXとCX(=キャリアトランスフォーメーション)です。最新テクノロジーの導入と浸透によるDXによって、企業は変化の激しい時代の活路を見出すきっかけを手に入れようとしています。もしDXが進展していないのであれば、社員のCXが進んでいないからです。CX推進には、従来型の組織内キャリアから自律型キャリアへのワークシフトが欠かせません。しかし人事担当者から聞かれるのは、「実際に、いかなる施策が有効なのか」ということです。今回の調査を通じて、企業規模、業種、職種の比較からも、業界特性や事業特性が、キャリア資産形成に強く反映されていることが明らかになりました。キャリア資産とは、キャリア形成の状態であり、項目別でキャリア資産形成が必要であると認識できれば、具体的な施策に取り組むことができます。特に興味深いのは複業経験が与える効果です。今回の調査を通じて、複業がキャリア資産を増加させることが明らかになり、これまで「複業はキャリア形成において良いものだ」と感覚的に捉えられていたことが裏付けられる結果となりました。今後の戦略人事の具体的な取り組みとして、キャリア開発をパッケージ化し、導入する形式的なプログラムではなく、キャリア資産の形成状態を把握した上で、それぞれの状態にあわせた実戦的なキャリア開発に取り組んでいくことが重要であると言えます。
田中 研之輔氏 プロフィール法政大学 キャリアデザイン学部 教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会代表理事/株式会社キャリアナレッジ 代表一橋大学大学院社会学研究科博士課程を経て、メルボルン大学、カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員。2008年に帰国し、法政大学キャリアデザイン学部教授。大学と企業をつなぐ連携プロジェクトを数多く手がける。企業の取締役、社外顧問を23社歴任。著書に「プロティアン―70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術」(日経BP社)、「ビジトレ―ミドルシニアのキャリア開発」(金子書房)など
【パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 『プロテア』サービス責任者 成瀬岳人】企業のキャリア開発施策は、社員の「自律的なキャリア開発」に移行しつつあります。従来は、階層別キャリア研修などが主流でしたが、今後は社員の自律的かつ戦略的なキャリア開発支援が求められます。また、どのようなキャリア開発支援が、具体的にどのような成長につながっているのか、を把握していく術が必要になります。社員の人的資本のポテンシャルを客観的に把握し、可視化する『プロテア』は、社員のキャリア資産ごとの課題を客観的に把握することで、取り組むべきキャリア開発支援と、その効果を明らかにします。社員は、企業から提供される支援施策を活用し、自らキャリア開発に取り組んでいくことになります。この企業と個人のキャリア資産を通じた新たな関係性が、結果的にエンゲージメントを高め、組織としての生産性向上や持続的成長につながっていきます。私たちは、『プロテア』を通じて、人的資本を最大化させる企業の取り組みをさらに洞察し、よりキャリア自律した個人が活躍できる社会の実現に貢献して参ります。成瀬 岳人 プロフィール
業務コンサルタントとして複数プロジェクトに従事した後、ワークスタイル・コンサルティングサービスを立ち上げ、複数社の労働時間改善やテレワーク導入を支援。また、国や自治体のテレワーク普及促進等の公共事業の企画・運営責任を担う。2020年4月より、新規事業開発部門の責任者に着任し、企業向けの複業促進サービス『プロテア』およびデジタル人材育成サービス『Work Switch +Digital』の立ち上げを指揮。複業で総務省より委嘱を受けてテレワークマネージャー、プロティアン・キャリア協会認定ファシリテーターとしても活動開始。著書に『組織力を高める テレワーク時代の新マネジメント』、『成果がぐんぐん上がる 自律的に働くためのリモートコミュニケーション術』(日経BP)
■参考<プロテアにおけるキャリア資産について>キャリア自律支援サービス『プロテア』では、社員の自律的なキャリア形成を図るため、法政大学キャリアデザイン学部教授 田中研之輔氏と共同で、キャリア資産における3つの資産項目を独自に要素分解し、各資産の蓄積状況を可視化できるようにしました。<プロテアによるキャリア資産の構成要素><キャリア資産レポートイメージ>※画面は開発中のものです。 https://www.persol-pt.co.jp/protea/パーソルP&Tが提供する『プロテア』は、本業および複業等による社員の知識や能力などのキャリア資産をスコア化することで、キャリアにおける課題を可視化します。可視化されたキャリア資産の傾向を元に、メンタリングや越境体験などの機会提供によって、社員の主体的なキャリア形成を支援します。