あのNokiaに大復活をもたらす?
3万円や4万円でも買える、いわゆる格安スマホは、それはそれでよいのですが、やっぱりチープな出来栄えがね…。そんな思いから、なかなかSIMフリーのスマートフォンには手を出せないだなんて人は、少なくないのかもしれません。
でも米Gizmodo編集部は、Nokiaから発売されたスマートフォン「Nokia 7.1」を手にして、おや? これはちゃんと使えるハイクオリティな格安スマホかもって驚きを隠せないようです。Sam Rutherford記者によるレビューをお届けいたします。
Nokia 7.1
これはなに?:かなりおすすめの格安スマホ
価格:350ドル(約4万円)
いいところ:エレガントなデザイン。安定した完成度。Android One。この価格帯にしてはカメラがいい。ヘッドフォンジャックもある。
残念なところ:動作キャリアが限られる。バッテリーの持ちは平均的でしかない。SIMフリーモデルのみ。Android 9対応予定だが、まだ未定。
今年の初め、Huawei(ファーウェイ)がApple(アップル)を抜いて、世界で2番目のスマートフォンメーカーへ踊り出ました。これは確かに大きなランキングの変動でしたけど、なんとそれよりも大きなジャンプアップを果たしたメーカーがあるんです。しかも、数年前までは無名だったHuaweiとは異なり、だれもが耳にしたことのある、あのNokiaが、そのメーカーの正体なんですよね!
ブランドネームこそ有名ですけど、近年のNokiaのスマホは不遇の展開をたどってきました。約2年前、フィンランドのスタートアップのHMD Globalが、Microsoft(マイクロソフト)から譲り受ける形で、再びNokiaは創業の地のフィンランドへ戻ってきました。ところが、そこからグングンと存在感を高め、いまや再び上位10社のスマートフォンメーカーへのランキング入りを果たしています。新スマホNokia 7.1の貢献は、かなり期待できそうですし、なぜNokiaが復活しようとしているのかがわかるような気もします。
Nokia 7.1は、たった350ドルでこの価格帯で求められるスペックや機能の数々を、すべて備えているようにも思えますね。Qualcomm製のSnapdragon 636プロセッサは、十分なパフォーマンスを叩き出しています。
4GBのRAMに64GBのストレージ容量は、あのGoogle(グーグル)のスマートフォン「Pixel 3」の最小構成モデルと同スペック。しかも、最近は高価格モデルで廃止されることが多くなってきた、microSDカードスロットも、ヘッドフォンジャックも標準で装備されていますよ。
USB-Cポートにモノラルスピーカーという装備も底面に備わっていますが、唯一残念に感じたのは、防水性能が欠落している点でしょうか。もっともこの価格帯では、IPレベル準拠の防水性能まで備えたモデルは、なかなかありませんけど。
低価格ではあるものの、決してNokia 7.1はチープな印象ではありません。ベーシックなガラス製の本体ボディに、サイドはアルミニウム加工というデザインです。
しかしながら、エッジはダイアモンドカット加工が施されており、ミッドナイトブルーやステンレススチールの本体カラーとのコントラストで、高級感すら漂います。同じような価格帯の「Moto G6」などの格安スマホと比較しても、このようなデザインの完成度は、そう見られるものではありません。
Nokiaの明るいFHD+ディスプレイは、HDR 10をサポートしています。つまり、YouTube、Netflix、そのほかのサービスの動画を流すと、同価格帯のスマートフォンのなかでは、もっともきれいに映るということですね。しかも、たとえHDRに非対応のコンテンツでも、より生き生きとした映像にコンバートする機能が内蔵されているため、やはり美しい映像を楽しむことができるようになっていますよ。
Nokia 7.1のディスプレイで残念なところは、ほとんどのノッチがあるスマートフォンでは、その境目を目立たなくできるオプションなどが加わっているのに、どこをどう探しても、Nokia 7.1には、そのノッチを目立たなくする仕様がないことです。とはいえ、いろいろ便利なアプリも出ているので、サードパーティーの力を借りて、これが気になる人は問題を解消することはできそうですけど。
背面には12メガピクセルのメインカメラ、5メガピクセルのサブカメラが備わっており、より深みのあるエフェクトの写真や美しいポートレートモードの写真が撮れるようになっています。確かにPixel 3との比較は酷でしょうけど、まずまずNokia 7.1も食らいついてますよ。とりわけ日中の写真は見事なものが撮れ、このクリスマスツリーの写真などは、Pixel 3と対決できるレベルでしょうかね。
Nokia 7.1の写真はイマイチというシーンもありますが、Pixel 3だって常に完璧というわけではありません。
暗い場所になると、Pixel 3のHDR+の性能が大いに威力を発揮しますが、Nokia 7.1だって健闘していますよね。
Nokia 7.1は、GoogleのAndroid Oneプログラムに参加しているため、ほぼクリーンな状態のAndroid OSを利用できます。余計なブロートウェアはプリインストールされていません。アップデートやセキュリティパッチは、Googleからダイレクトに配信されてきますよ。しかしながら、残念なことに、いまだにNokia 7.1のOSは、Android 8.1のままです。先月末にはAndroid 9へとアップグレードされる予定だったのですが、いまだにNokiaからはアップグレード時期の回答待ちです。
しばらく使ってみた正直な感想は、あまり批判するべきところがないというものです。強いていうならば、バッテリー寿命は向上の余地があったでしょうか。バッテリー消耗テストを実施してみたところ、ほとんどのスマートフォンは10時間を超えているのに、Nokia 7.1だけは9時間がやっとこさというレベルでしたね。
少し気になっているのは、Moto G6とは異なり、Nokia 7.1がSIMフリーモデルのみで、AmazonやBest Buyなどのショップでしか購入できないことです。おまけにCDMAネットワークがサポートされていないため、VerizonやSprintといったキャリアでは使えませんよ。つまり、ユーザー層が限られてしまうことを意味しており、キャリアから割賦で新規購入し、初期費用を抑えるといった買い方ができません。
そうはいっても、この完成度で単純にリーズナブルな価格のスマートフォンを探している人にとっては、あの1990年代後半から2000年代前半に携帯電話の王者だったNokiaらしい、優れたモデルであることは間違いないでしょう。安定した作りこみで、必要な機能はすべてそろった最低限のスマートフォンが、ディスカウント前の定価でも350ドルにて手に入ります。これはすばらしいことではないでしょうか。
・ノッチが際立ったデザインなので、ノッチが好きなユーザーには最適ですし、サードパーティーアプリで隠すことも可能です。
・HDR 10をサポートしているスマートフォンとしては、もっとも低価格な部類に入るでしょう。HDR非対応のコンテンツでも、より美しい映像として再生するコンバート機能が内蔵されています。
・AT&TやT-Mobileなど、GSMネットワークにしか対応していません。
・9時間ちょっとのバッテリーの持ちという、まずまず一般的なバッテリー寿命です。