故李健煕サムスングループ会長
サムスン電子は、世界的メーカーの頂点に立つ企業だ。米インテルを制した世界最大の半導体企業であると同時に、テレビとスマートフォン市場で世界1位を守っている。収益性の面でも非の打ち所がない。サムスン電子は、新型コロナウイルスで世界メーカーの供給網が崩壊した今年7-9月期にも15兆ウォン(約1兆4563億円)を超える営業利益を出した。しかし、サムスン電子を見る投資家らの目は芳しくない。今年初頭、10万ウォンに迫っていたサムスン電子の株価は、現在7万ウォン前後まで急落した。投資家が納得できるビジョンなしには、株価が動かない「PDR(price to dream ratio、夢株価排水)」時代であるため、こうした状況はさらに痛手となる。李健煕(イ·ゴンヒ)サムスン電子会長の1周忌(10月25日)を控えた24日。サムスンの元最高経営者(CEO)の間では、「うまくいっているように見える今がむしろ危機かもしれない。李会長の精神を振り返り、精神の再武装をしなければならない時」という声が上がった。「李健煕会長が生きていたら、三星社長団は叱られただろう」。サムスンの元CEOらは、サムスンが、世界最高水準の製造業競争力を備えている背景として、李会長を挙げた。キャッシュカウイン半導体が代表的だ。李会長は1974年、私財を投じて韓国半導体を買収し、これを発展させて、1994年、世界DRAM市場1位を獲得した。 テレビ(06年1位達成)、スマートフォン(11年1位達成)なども「超一流」を叫んだ李会長が育てた事業に挙げられる。2021年、サムスンが直面した問題はさらに複雑だ。米国、欧州、中国が先を争って半導体事業に参入する「半導体覇権戦争」に対応する一方、新たな成長動力も模索すべきだ。ライバル会社との技術格差を広げ、市場シェアを引き上げるのが全てだった李会長在任時代とはずいぶん違う状況だ。サムスンの元CEOらは「競争構図と経営環境は変わったが、解決策は変わらない」とし「妻と子を除いてすべて変えなければならないという新経営宣言は今も有効だ」と口をそろえた。1993年、李会長がドイツ·フランクフルトへ社長団を呼んで厳しく忠告したのは有名なエピソードだ。当時、彼は「『知らぬが仏』という言葉のように、知らないから(あなたたちが)楽だ」とし「毎日同じスーツを着て同じネクタイを締めているから、世の中がどう変わっているのかみんな知らない」と叱った。続いて出たのが新経営宣言だ。「専門経営者たちは現実に安住」