ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち
表面には、広告などでも使われていたイラストが使用されているほか、裏面には開発陣であるTAMTAMのメンバー写真が掲載されています。当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、前作1984年に発売された『ウイングマン』の続編となる、1986年発売の『ウイングマン2 キータクラーの復活』です。
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マンガを原作としたゲームソフトは、1980年代中盤に登場した作品となると手放しで褒められているタイトルは非常に少ないですが、その中でも高評価を得たソフトがありました。それが、「ウイングマン」シリーズです。以前、1984年に発売された1作目をこのコーナーでも取り上げましたが、2年後の1986年3月に続編としてリリースされたのが、今回紹介しているアドベンチャーゲーム『ウイングマン2 キータクラーの復活』となります。前作と比べてグラフィックは美しく、戦闘シーンもパワーアップしたということで、やはり1作目同様ヒットを飛ばしました。そんな本作のプロローグは、オープニングカットにも登場している2人のキャラクターによって語られます。
広告が初登場したのは1985年末で、このときは近日発売となっていました。その後、複数のバージョンを経て3月に発売となります。掲載したパターンを見ると、途中の広告には書かれていた“時間システム”が消えていることに気づくと思います。あおい:ねぇねぇケンぼう聞いてよ! 今、ポドリムスにいる私のお父さんから連絡があったの。ポドリムスからこの三次元に送られてきたやつがいるんだって。ねえケンぼう、そいつはきっとリメルが私たちを殺すために送ってきた殺し屋に違いないわ。ねえケンぼう、どうしよう。みく:ねえあおいさん、私思うんだけど……その殺し屋はきっと三次元人に変装していると思うの。だからこっちから先にそいつを探し出してやっつけちゃえばいいんじゃないかしら? よーし、そうと決まれば……。
ゲーム開始直後には、登場人物たちが自己紹介します。広告などで盛んに「原作や前作を知らなくても遊べます」と宣伝していたので、知らない人へ向けたこのようなシーンも大事だったと思われます。プレイヤーは主人公の広野健太として、あおい・みくと共に行動しながら、リメルが送ってきた殺し屋を探して倒すことが目的となります。前作同様に移動出来る場所は少なく、食堂/テニスコート/音楽室/保健室/宿直室/体育館/視聴覚室/プール(シャワー室)の8カ所のみでした。また、数多くのアイテムを拾えるわけでもないため、慣れないと先へ進むのが難しいです。基本的には、各シーンに登場する人物との会話で彼女たちが何をしているのかという情報を入手して、それを元に行動を起こすという形になっていました。例えば、視聴覚室にいるリロちゃんと話すと「喉が渇きました」という情報が得られるので、食堂の自動販売機で飲み物を買えば良いということがわかるものの、主人公はお金を持っていないので各シーンを移動して探す、という感じです。
これを繰り返してフラグを満たすと最初の8場面をクリアしたことになり、コーヒーブレイクの画面が表示された後、新たな8場面に入れ替わりました。ここでも条件を揃えれば、舞台はポドリムスへと移ることになります。
移動は、画面中央にあるケンタカーソルをテンキーで動かし、行きたいシーンに重ねてリターンキーを押すだけです。方角などを入力しなくても良いので、非常にわかりやすいです。アドベンチャーゲームとしてのシステムはコマンド入力式を採用しているのですが、主に使用する動詞がファンクションキーの1~10までに登録してあるため、単語選びで悩むような場面はほとんどありませんでした。また、直前に入力した名詞は“HELP”キーを押すことで即座に表示されるため、繰り返しプレイもそれほど苦になりません。コマンドは、動詞を入力してリターンキーを押した後に名詞を打ち込むという仕組みで、コマンド自体も英語ではなく日本語のため取っつきやすいです。さらには、名詞入力時にリターンキーを押すとケンタカーソルが登場し、これをテンキーで操作して対象の物体上まで移動させリターンキーを叩けば自動で名詞が入力されるなど、極力単語探しをしなくてもよいという親切仕様でした。
移動先ではオーソドックスなアドベンチャーゲームと同じく、単語(かな)を入力する方式になっています。ほとんどの動詞はファンクションキーから選べるので、単語探しをさせられることはほとんどありません。が、後半のとある場面で入力する“する”は、ちょっと! と思いました(笑)。8カ所のシーンは攻略順番が決まっているわけでは無いため比較的自由に移動出来るのですが、そのためかフラグが立っても次へ進むことができないということが希に起きます。こんな時は一度データをセーブした後にリセットして、再びロードすればほぼ問題無く進行することができました。
中盤で行き詰まった時には、この画面のような状況にすることが大事です。なお、前半で食券を使ってしまったり、途中でカニを取ってしまったら、やり直すのが賢明です。ゲームも中盤を過ぎると敵が登場するので、ここではウイングマンに変身しての戦闘シーンとなります。前作では、画面の下1/4ほどのスペースでバトルが進行しましたが、本作では画面全部を使用しての迫力ある戦いが楽しめました。テンキーでウイングマンを操作し、ファンクションキーの各攻撃で敵にダメージを与えるのですが、通常時とシフトキーを押すことで脱着可能なガーダー装着時ではアタックの方法が変わるなど、細かい部分も作り込まれています。相手の体力を減らしたら、最後はデルタエンドでフィニッシュ!
戦闘シーンに入ると、PC-8801mkIISR以降であれば「チェイング!」と発生してから変身します。ここではアクションゲームとなるので、テンキーでウイングマンを操作し、敵を狙ってファンクションキーを押して各種攻撃を行います。使える攻撃はF1:バリアレイバー/F2:スパイラルカット/F3:ファイナルビーム/F4:ドライバーレイド/F5:デルタエンドで、ガーダーを装着するとF1:ヒートレイバー/F2:スパイラルカット/F3:スプリクトフラッシュ/F4;ビームフラッシャーと変わりました。本作は、音楽面でも大きな特徴を持っていました。それは、“作曲家のすぎやまこういちさんが、初めてゲームでの作曲を手がけたタイトルだった”という点です。本作の前にエニックスから発売された『森田将棋』をすぎやまさんがプレイし、アンケートハガキを書いて放置していたところ、奥様がポストに投函。それがエニックスに届き、当人に電話がかかってきたことがきっかけだったそうです。ちなみに、パッケージ裏には“プロの作曲家による抜群の音楽構成”とのキャッチコピーや、作者のTAMTAMと共に“作曲・音楽構成 すぎやまこういち”と記されたほどでした。
残念ながら、すぎやまこういちさんは2021年9月30日に永眠されてしまいましたが、この機会に「すぎやまこういちさんといえば「ドラゴンクエスト」シリーズが有名ですが、実は『ウイングマン2 キータクラーの復活』がゲーム音楽のデビュー作なんですよ!」と大勢の人に伝えていきたいものです。
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