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MediaTekの5Gプロセッサ「Dimensity」は省電力と低遅延が特徴、日本での展開は?(1/2 ページ)

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MediaTekは7月21日、最新の5Gソリューションの開発や取り組みについてオンライン説明会を開催。日本市場の最新状況とともに、5G プロセッサ「Dimensity 1000+」と「Dimensity 800シリーズ」について説明した。

MediaTekの5G プロセッサ「Dimensity 1000+」(左)と「Dimensity 820/800」シリーズ

最初に、メディアテックジャパン ビジネスディベロップメント ディレクター代理の出石賢氏が、MediaTekと日本市場の状況について説明した。

MediaTekは台湾のファブレス半導体メーカーで、本社は台湾の新竹市にある。ファブレス半導体メーカーの中では業界4位、半導体メーカー全体では業界13位に位置しており、2019年度の売り上げは約8000億円。35都市に50拠点を構え、1万6000人以上の従業員が在籍している。

MediaTekの直近の業績

創業当時から手掛けているのはBD/DVD、テレビなど家電用のプロセッサだ。その他、スマホ、タブレット、アクセスポイントなどの通信系デバイス、ゲーム機器、車載製品、AR/VR向け製品、データセンター向けデバイスのプロセッサなど、非常に幅広い製品を手掛けており、年間15億個のチップを出荷しているという。スマホを除いた主要セグメントにおいてMediaTekは業界トップシェアを誇り、世界に存在する携帯電話の約3分の1にMediaTekのプロセッサが搭載されているという。

幅広い製品を手掛けており、いずれのシェアもトップレベル

日本法人のメディアテックジャパンはMediaTek Inc.の100%子会社で、2007年に発足。現在、約25人のスタッフが在籍している。「日本市場は成熟し、十分に規模が大きなマーケットで、グローバルブランドメーカーが数多く存在する。これまでも、これからも、日本市場はMediaTekにとって重要な市場であり続けると考えている」(出石氏)

MediaTekの5Gプロセッサ「Dimensity」は省電力と低遅延が特徴、日本での展開は?(1/2 ページ)

テレビ用プロセッサのシェアは世界1位で、もちろん日本メーカーの製品にもMediaTekのプロセッサが採用されている。日本で販売されているスマホでは、京セラ製でauが取り扱っている「BASIO 4」とY!mobileの「Android One S6」、サムスンデン氏の「Galaxy A41」などがMediaTekを採用している。

MediaTekのプロセッサを採用する国内販売スマホの例

MediaTekと日本との関係は深い。2010年7月27日には、NTTドコモなど4社が開発したLTE対応通信プラットフォーム「LTE-PF」のライセンス契約を締結した。

2010年にMediaTekの会長である蔡明介氏(中央上右)が来日し、ドコモと共同記者会見を行った。握手しているのは当時のドコモ社長 山田隆持氏

LTE-PFは、現在もMediaTekのスマホ向けプロセッサの中で活用されているという。日本の半導体メーカーがモデムビジネスから撤退する中、「日本企業のLTEに関する知識の結晶は、ドコモの他は唯一、MediaTekのプロセッサの中だけで生き続けているといえる。MediaTekは台湾企業だが、製品の中には日本の血が流れているということを伝えたい」(出石氏)

MediaTekの最新の5Gソリューションについては、ワイヤレスコミュニケーション ビジネスユニット デピュティ ジェネラルマネジャーのイェンチ・リー博士と、同ユニット シニアディレクターのネイサン・リー氏説明した。

MediaTekは5Gソリューションに数年前から投資してきたという。2018年、初めて5Gモデムプロセッサ「Helio M70」を発表。2019年は数多くのRFベンダーと協業しながら開発を加速させ、米T-Mobileと世界初のマルチベンダー5G NR スタンドアロンデータ通信試験を行っている。また、2019年11月には5Gのプロセッサとして「Dimensity 1000」を発表した。

2020年に入ってからは、OPPO、Ericssonと共同でVoNRの音声通話、ビデオ通話試験を行った他、Vodafone、Ericsson、OPPOと協業し、英国で5G スタンドアロンネットワーク上でネットワークスライシングのデモを行った。

また、2020年1月にはDimensityシリーズの第2段となる、ミドルレンジ向けの5G対応プロセッサ「Dimensity 800」シリーズを発表している。

MediaTekの5G対応プロセッサ「Dimensity 1000」シリーズと「Dimensity 800」シリーズ

今回紹介された「Dimensity 1000+」は、MediaTekが5Gのプロセッサとして発表した最初の製品、Dimensity 1000の改良版。7nmプロセスで開発され、ハイエンドのスマートフォンに使われているプロセッサだ。「big.LITTLE」アーキテクチャを採用し、bigコアのCortex-A77は全て2.6GHzの高速で駆動。エネルギ―効率が高く、同時に省電力を実現しているという。

Dimensity 1000+のGPUには、最新の「Mali-G77」を9基採用。前世代のG76と比べ、省エネ効率が30%改善しているという。また、「フラグシップの携帯電話ではAIを抜きに語れない」(ネイサン氏)とし、AIプロセッサ(APU)の「MediaTek APU3.0」を搭載している。このAPU3.0は著名なAIベンチマークランキングで第1位となっており、優れたパフォーマンスを発揮すると自信を見せた。

Dimensity 1000+の構成ETH チューリッヒ AIベンチマーク ランキングで、Dimensity 1000+は第1位

モデムは、NSA/SA(ノンスタンドアロン/スタンドアロン)、5Gの2CC CA(2波のキャリアアグリゲーション)、DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)に対応するなど、5Gモデムで最も高度な「MediaTek 5G UltraSave」を搭載。

一方、対応周波数は6GHz帯未満のSub-6に限られ、ミリ波には対応しない。ISPはフラグシップレベルの「Imagiq」を搭載し、8000万画素のシングルカメラ、3200万画素+1600万画素のデュアルカメラ、60fpsの4K動画撮影などを可能にする。さらに、Dimensity 1000+はディスプレイが144Hzのリフレッシュレート、HDR10+をサポートする。

この他、Wi-Fi 6への対応や、「MediaTek HyperEngine 2.0」による低レイテンシ、高レスポンスな動作を実現している。

Dimensity 1000+の主なスペック

Dimensity 800と820はミドルレンジからミッドハイのスマホを対象としている5G対応プロセッサ。CPUはbigコアに2.6GHz駆動のCortex-A76を4基搭載。前世代のフラグシップスマホに近いパフォーマスを実現するという。

Dimensity 800と820のCPUDimensity 820と800のスペックMediaTek 5Gモデムの優位性とは?1|2次のページへ