――Mi 10シリーズには複数のラインアップが用意されています。シャオミとしても他の機種をラインアップしています。なぜau向け機種が「Mi 10 Lite 5G」になったのでしょうか。
ワン氏まず背景として、私は日本での事業を担当していますが、同時に本社では5Gの製品企画の一部も担当していることをご紹介させてください。したがって、実際にはこれらの商品の全てに携わっていたことになります。
その上で、まず考え方の部分なのですが、一般的に、フラッグシップの機種を開発するということは、ある意味、シンプルと言えます。それは最高のディスプレイ、最高のプロセッサ、最高のコンポーネントを揃え、そしてそれを1つのデバイスにまとめ、高品質で優れたソフトウェアとともに組み上げるという形です。
Mi 10シリーズ一方、より挑戦的で、よりインパクトがあり、やりがいがあるのは、ハイエンドユーザーのニーズにも合うミッドレンジの製品を作ることだと思います。
――なるほど。
ワン氏年初の5Gスマートフォン市場の状況を見ると、その後、多くのチャネルで、ハイエンド機種のラインアップが登場することが判明していました。つまり消費者の方々にとっては、もうたくさんのハイエンド機種の選択肢が用意されている状況でした。
そこで、さまざまなパートナーと話をしました。その段階で、私たちはクアルコムさんの5G対応チップセットであるSnapdragon 765を最初に調達するメーカーの1社でした。同時に、その調達量も最大規模という立場です。
そしてSnapdragon 765を使えば、差別化された製品を開発する助けになると考えましたし、ハイエンド製品よりも多くの人にインパクトを与えることができる製品を開発できるのでは、とも考えたのです。
――マーケットの状況と、そのときのアドバンテージを踏まえたと。
ワン氏はい。そして「Mi 10 Lite 5G」にした、もうひとつ理由があります。それは、スマートフォン市場のトレンドが、ハイエンドな高価格帯の製品から、ミッドレンジの中~低価格帯の製品に変わってきているという点です。
スマートフォン向けの技術は成熟してきましたので、コストの最適化という段階を迎えています。
たとえば3年前であれば、いわゆるミッドレンジのものでは満足できない人はそれなりにいらっしゃったと思います。でも今や、人口の80%のニーズにマッチする性能をミッドレンジで開発できるようになってきている、というわけです。