カショギ氏の事件を「あってはならないこと」と表現する孫氏
孫氏は「冒頭でカショギ氏の事件の件について触れたい。あってはならない大変悲惨な事件と認識している。カショギ氏という一個人の人生を終わらせてしまったことに加えて、ジャーナリズム、言論の自由に対する大変な問題を提起するもので、この事件に対して強い遺憾の意を示したい。事件が発覚後、サウジでイベントがあった。私は参加を取りやめたが、サウジアラビアには行ってきた。サウジの高官の皆さまに直接お会いして、懸念を伝える目的があったからだ。事件の詳細が解明され、責任ある説明を求めていきたい」と述べ、トルコのサウジアラビア公館で発生したジャーナリストのジャマル・カショギ氏が殺害された事件にサウジアラビアが関わっていたことに強い遺憾の意を表明した。
これはソフトバンクグループが運営している投資ファンド ソフトバンク・ビジョン・ファンドの出資者がサウジアラビアであり、国際的にサウジアラビアに対して風当たりが強くなりつつある中で、ソフトバンクがどのような姿勢を取るのか注目されていたことを受けたもの。ソフトバンクグループとしては遺憾の意を表明するという形で、事件に対しての姿勢を明らかにした。
ただ、その一方で孫氏は「サウジの国民の皆さまから資金をお預かりしている。サウジアラビアの経済の多様化、そういう責務を持っている資金だ。そのサウジ国民の皆さまの将来に対する責務を、背を向けないで果たすべきである。事件の真相が究明され、きちんとした説明が為されることを願っている」と続け、とりあえず、現在サウジアラビアから出資を受けているビジョン・ファンドは変わりなく運営していく方針も明らかにした。また、質疑応答の中で「現在のビジョン・ファンドにも出資金は残っており、投資した企業の上場が進んで資金回収も行なわれている。ビジョン・ファンド2や3に関して行なうのは時期尚早であるので、慎重に検討していきたい」と述べ、サウジアラビア政府の事件への関与度合いなど、将来別の事実が明らかになったりした場合に向けて若干の含みを持った発言をした。