YouTubeの製品レヴューや「BlackBerryの今年の動向」といったタイトルの動画は、いまだに20万回以上の再生回数を誇る。こうしたなか「TechOdyssey」というチャンネルを運営するアダム・マットロックは自称「BlackBerryの熱心な支持者」で、定期的に製品レヴューやニュースを配信している。
とはいえ、チャンネル登録者からBlackBerryを取り上げてほしいというリクエストなどはないという。マットロックは次のように語る。「ひとつの時代を築いたブランドで誰もが覚えています。なかなか忘れるわけにはいかないでしょう。携帯電話で文章を打つときに物理キーボードに勝るものはなく、生産性とコミュニケーションの代名詞でした」
ちなみにマットロックのお気に入りのBlackBerryは「BlackBerry Classic」で、いちばん最後にもっていたのは「BlackBerry KEY2 LE」(18年発売)だという。彼は同時に、BlackBerryユーザーはここ数年、さまざまな不便を耐え忍ばなければならなかっただろうとほのめかす。
「BlackBerryは遅れを取り戻し、きちんと使える製品を提供しなければなりません。ユーザーはこれまでは妥協を強いられてきましたが、今後はそうしたことは不要になるよう願っています。使いやすい携帯電話には素晴らしいキーボードが付いてくるべきで、逆にキーボードがじゃまになるようでは困るのです」
PR会社LM Communicationsの創業者のララ・ミンゲイの場合、これまで私用の携帯電話はずっとBlackBerryだったが、今年2月からはiPhoneをもつようになった。ミンゲイはBlackBerryについて、「全モデルもっています。昔の青いモデルも発売当初から使っていたんです」と話す。
ここに来てアップルに“屈した”のは、愛用のBlackBerry Classicがとうとう壊れたからだ。「動かなくなったんです…。シャットダウンして、そのままになってしまいました」
実はそれだけが理由ではない。QWERTYキーボードは携帯電話でメールを打つには「完璧なツール」だったが、PRという仕事をする上でインフルエンサーの存在を無視できなくなったという。「仕事の関係でInstagramをきちんと表示できないのが困っていました。だからあきらめざるを得なかったんです」
一方で、ネットの利用時間を減らすためにBlackBerryを選んだユーザーにとって、こうした不都合はむしろ好都合だ。英国の新聞『i(アイ)』でスポーツ記事を担当するルイ・ドレは、TCLのBlackBerry端末として最新機種の「BlackBerry KEY2」(18年発売)を使っている。その前のモデルは「BlackBerry KEYone」(17年発売)だった。
ドレは次のように振り返る。「KEYoneは基本的にソーシャルメディアはどれも使いにくかったんです。画面の縦横比が3:2なので、Instagramのストーリーを表示すると上が切れてしまうし、Facebookのアプリとも相性が悪かったですね。KEY2はいきなり再起動されてしまう問題がなくなったので、ほかのことに気が散らない携帯電話としては最高でした」
「わたしにとっては、BlackBerryへの愛は携帯電話への愛そのものです」と、ドレは言う。「ソーシャルメディア断ちを可能にしてくれたスマートフォンですから。とはいえ、Twitterは別でしたね。とにかく、情報量に圧倒されずに周囲とのつながりを感じることができました」