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「ドコモ光」から見え隠れする各社の思惑

書かれた 沿って mobilephonebrand

今年はモバイル業界にとって、大きな節目になる年だと言われている。例えば、料金サービスで言えば、国内音声通話が定額で利用できる料金プランが各社から発表され、通信技術も次世代となるLTE-Advancedへ向けて、キャリアアグリゲーションやVoLTEといった新しいサービスがスタートしている。MVNO各社の動きが活発化する一方、2015年春にはSIMロック解除という方向性が打ち出され、いくつかのメーカーからSIMロックフリー端末が一般のコンシューマー市場向けに販売が開始されている。今後、モバイル業界のビジネスが大きく転換するきっかけとなる一年になりそうだ。

そんな中、NTTドコモは10月31日に催した2014年度上期(2014年4月~9月)の決算説明会において、以前から話題となっていた固定回線とのセット割引「ドコモ光」を2015年2月からスタートすることを明らかにした。

ドコモ光はNTT東日本とNTT西日本から光回線の卸提供を受け、それをNTTドコモのサービスと組み合わせて提供するものということになる。モバイル業界的にわかりやすく書くと、NTTドコモがNTT東日本とNTT西日本の光回線を利用した「MVNO」のような存在になり、NTTドコモのブランドで光回線を利用した固定通信サービスも提供することになる。

「ドコモ光」から見え隠れする各社の思惑

こうした固定回線と携帯電話サービスをセットで提供するものとしては、KDDIと沖縄セルラーが、FTTH及びケーブルテレビの提携事業者と連携し、2012年3月から「auスマートバリュー」を提供している。ソフトバンクも、同時期からインターネット接続サービス「ホワイトBB」などとスマートフォンの組み合わせによる「スマホBB割」を提供している。なかでもauスマートバリューは、対象となる固定通信サービスがKDDIが関東エリアで提供する「auひかり」、沖縄セルラーが提供する「auひかりちゅら」だけでなく、中部テレコミュケーションの「コミュファ光」、ケイ・オプティコムの「eo光」、STNetの「Pikara」、エネルギア・コミュニケーションズの「メガ・エッグ」、九州通信ネットワークの「BBIQ」といった電力系通信事業者による通信サービスに加え、ジュピターテレコムが全国に展開するCATVサービス「J:COM」、全国各地のケーブルテレビ会社のサービスを組み合わせられるようにしており、サービスの種別や資本関係の垣根を越えての提携を実現したことが注目されると同時に、KDDIの好調な業績の原動力になったとも言われている。

こうした状況に対し、昨年来、総務省の情報通信審議会の「2020-ICT基盤政策特別部会」などで「競争政策見直し」が議論され、そこで浮上してきたのが「NTTドコモが他社のような固定回線とのセット割引が実現できないのは不公平ではないか」という指摘だ。

このあたりの流れは、過去の記事を参照していただけると分かりやすいが、簡単に言ってしまえば、いわゆるNTT法と電気通信事業法30条により、市場で一定のシェアを持つNTTドコモとNTT東日本/NTT西日本は、“一体的に営業できない”などの規制が設けられており、これまで固定回線と携帯電話回線のセット割引などが実現できない状況にあった。

しかし、KDDIやソフトバンクがこうしたセット割引を提供していることに加え、一連の規制が固定回線と携帯電話回線のサービスが明確に区別されていた時代のものであることなどから、規制を見直すべきではないかという議論がくり広げられてきたわけだ。

そして、10月8日に行われた情報通信審議会 2020-ICT基盤政策特別部会の基本政策委員会で、これまでの議論を元にした「2020年代に向けた情報通信政策の在り方 報告書(案)」がまとめられ、これを受ける形でNTT東日本/NTT西日本は10月16日に、光回線の卸提供する「『光コラボレーションモデル』の提供条件」を発表、その後に、今回のNTTドコモの「ドコモ光」の発表が行われたという流れになる。