前述のとおり、外出自粛要請などにより、外出が困難となっている現在、仕事の打ち合わせなどで電話/ビデオ会議に対する需要がひじょうに高まっている。仕事だけではなく、仕事が終わった後に、プライベートで友人とビデオ飲み会をする人も増えている。そこで問題になるのが音質だ。
多くの人はノートPCに内蔵されたカメラ/マイクでビデオ会議を行なっていると思うが、これらは品質があまり高くない。それに輪をかけて、自宅の周囲を走行する車の音、空調の音、キーボードの打鍵音、自宅で家族が出すさまざまな騒音などが乗っかってくるため、音の環境は悪いと言わざるを得ない。
コミュニケーションの内容にもよるが、映像は多少画質が悪くても伝わるが、音声にずっとノイズが乗っていると聞いていて疲れるし、場合によっては声が騒音にかき消されて意思を伝えられないこともある。そのため、音質だけでも改善させたい。
音質を上げるためにまず導入したいのが、ヘッドセットだ。ノートPCのマイクが貧弱なのに加え、そのキーボードを打鍵すると、何を言っているのかがわからなくなる。声が聞き取りにくいからと、ノートPCのボリュームを上げると、今度は、その音声をマイクが拾ってハウリングが起きたりもする。ヘッドセットにすれば、マイクが口元に来るので、ノイズを拾いにくくなるし、ハウリングも起きなくなる。しかし、高まるビデオ会議需要から、現在ヘッドセットやWebカメラの売り切れが多発しており、入手が困難となっている。
電話/ビデオ会議をやるなら、できればヘッドセットは用意したいやや前置きが長くなったが、今回Discordに実装されたノイズ抑制機能は、こういった問題をさくっと解決してくれるものだ。
利用は簡単。Discord(現在はデスクトップ版のみ)のユーザー設定の「音声・ビデオ」を開き、「ノイズ抑制」をオンにするだけだ。この機能は、Krispが独自開発したディープニューラルネットワーク「krispNet DNN」を通じてノイズ抑制を行なうもので、掃除機やドアの開閉、キーボード入力などといった環境音を除去できるという。
「ノイズ抑制」をオンにするだけで使える手元の環境で試してみたところ、オフの状態だと、ノートPCのファンノイズやキーボードの打鍵音が混ざっていたものが、オンにするだけできれいさっぱり消え去った。声の音質はじゃっかん変化するものの、違和感はほとんどない。今回はファンノイズと打鍵音でしか試していないが、効果はてきめん。広くお勧めできる機能と言える。
ノートPCのカメラとマイクを使い、ノイズ抑制をオン/オフ