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サムスン電子は24日、アメリカ・テキサス州テイラーに半導体工場を建設すると発表しました。
サムスン電子がテイラーに建設するのは、最先端の半導体を製造するファウンドリー=半導体の受託生産工場です。投資額は170億ドルで、アメリカへの投資額としては過去最大規模となります。工場は2022年に着工し、2024年に稼働する予定で、5G=第5世代移動通信システムやAI=人工知能などに使われる最先端の半導体を受託生産するということです。
サムスン電子は半導体市場全体ではシェア1位ですが、ファウンドリーの市場では、台湾のTSMCが53%のシェアを持っているのに対し、サムスン電子は17%にすぎません。新工場で、回路線の幅が3ナノメートル以下の製品の量産をTSMCより先に始めることができれば、サムスン電子がファウンドリー市場でも1位になる土台ができる見通しです。
半導体をめぐる世界的な覇権争いが激しくなるなか、サムスン電子が過去最大規模のアメリカへの投資を決めたことで、世界の産業供給網から中国を排除する取り組みを加速させているアメリカとの半導体同盟をさらに固めることができるとみられています。サムスン電子の発表を受けて、アメリカのホワイトハウスは、数回にわたって歓迎の意を示す声明を出しました。米中の対立が激しさを増すなか、アメリカには最先端の半導体を台湾のTSMCに頼ることへの危機感があり、サムスン電子によるアメリカ新工場の建設は、アメリカとして喜ばしいことです。
一方、韓国政府も「K半導体戦略」や「2030二次電池産業発展戦略」、「K造船再飛躍戦略」など大規模な産業政策を次々と打ち出し、企業の国内投資の促進をはかるとともに、国内回帰に向けた政府補助を拡大しています。政府としては、きめ細かな産業戦略により、国内産業の育成にも力を入れつつ、海外に進出した企業との相乗効果を最大限に発揮できるように産業政策を進めていくことが課題となっています。