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NTT西日本のSDGs特化アクセラレータ「Startup Factory 2017」が終了、スタートアップ5社が全国でトライアル事業やPoCを展開へ

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Startup Factory は NTT 西日本が運営するスタートアップアクセラレータだ。初めて開催された2015年の際には NTT 西日本との協創をうたったビジネスコンテストとしての色合いが濃かったが、2年ぶりに開かれた2017年の回ではテーマを改め、地方の SDGs(Sustainable Development Goals)を実現可能なサービスにスポットライトを当てた。

かつて、NTT グループのスタートアップ投資・オープンイノベーション支援は NTT ドコモ・ベンチャーズに集約される戦略をとっていた時期もあったが(CNET Japan に、筆者による当時のNTTドコモ・ベンチャーズ取締役副社長の秋元信行氏へのインタビューが掲載されている)、現在では NTT データや NTT コミュニケーションズなど、いくつかのグループ会社が独自にスタートアップ支援プログラムを展開するケースが出てきている。

元来、(NTT 東日本や NTT 西日本のような)地域会社は、通信のラストワンマイルのサービスにおいては、それぞれの営業地域を超えての提供はできないのが原則だが、通信インフラという事業の枠組みを超越すれば、営業地域の枠組みはおろか、海外でサービスを展開しても他部門とカニバることがない。人口減少や過疎化、他業種の参入に加え、通信の使われ方が変化する中で、津々浦々まで張り巡らされた営業網をスタートアップに開放することは、地方創生とともに NTT 自身の〝土管ビジネス〟脱却に寄与することになるだろう。

Startup Factory 2017 には、昨年10月〜12月の3ヶ月間にわたり、スタートアップ10社がアクセラレータプログラムに参加。二次選考を経て5社が協創支援プログラムに参加した。3月27日、大阪・京橋の NTT 西日本研修センタ 本館(PRISM)で、協創支援プログラム参加5社と NTT 担当者が成果を披露するデモデイが開催された。

福岡県糸島市を拠点とするコラボプラネットは、地域出張型の個別指導学習塾「ブランチ」を運営。学習塾にあるがちな駅周辺ではなく郊外型の立地で運営。賃料を圧縮できるため、1教室で3ヶ月あたり最低8名塾生がいれば、維持運営可能な状態を維持できる。

塾には NTT 西日本の退職予定者や OB を見守りサポーターとして派遣し、また NTT 西日本が ICT 機器を支援することで、遠隔で九州大学の学生やオンライン家庭教師サービスの manabo のサービスを受けられる体制を確立。NTT 西日本が合計11の自治体に提案したところ、協力が得られた佐賀県小城市で実際の運用が開始された。

Open Network Lab の第7期から輩出された、学校のためのプライベート SNS を提供する Ednity は今回、札幌新陽高校で実施した PBL(課題解決型学習)の事例を紹介した。札幌新陽高校は、ソフトバンクの元社長室長である荒井優氏が校長を務めており、スタートアップのサービスやテクノロジーを活用した新しい形の学習環境の試行に積極的な学校として有名だ。

今回のプロジェクト「スクール電力」では、NTT 西日本とオムロンの JV で電力の見える化事業を行う NTT スマイルエナジーが札幌新陽高校の屋根に太陽電池を設置し、そこから得られた電力を新電力会社(PPS)に売電。NTT スマイルエナジーからは札幌新陽高校に屋根利用料が支払われ、このビジネスの運用から得られた知見を、そのまま生徒の学習に生かすという運用が行われた。Ednity はプロジェクト全般の企画やリードに携わった。

NTT西日本のSDGs特化アクセラレータ「Startup Factory 2017」が終了、スタートアップ5社が全国でトライアル事業やPoCを展開へ

社名が物語るように、以前紹介したときには栄養管理のための記録や管理のアプリを開発していたが、これまでに蓄積した知見を生かして AI スタートアップとして登場したハカルス。人工知能を使ったサービスには、それを実現する技術としてディープラーニング(深層学習)が使われることが多いが、ディープラーニングではサービスを実現するまでに、莫大な学習データが必要となる難点がある。

ハカルスでは今回、少ない情報から全体像を的確にあぶり出す科学的モデリング方法である「スパースモデリング法」を活用、太陽光パネルの異常箇所を効果的に抽出する方法を提案した。情報量が少なくても解析が可能なので、撮影する画像量が少なくて済み、ドローンの飛行時間も抑えることができた。今後は画像解析パッケージの OEM 提供や、路面など太陽光パネル以外へのソリューション適用も展開したいという。

ピクスーは、IoT でよく使われるセンサーをデジタルファブリケーションの活用によって安価に提供する「Webiot」というサービスを提供している。センサーから得られた情報はウェブコンソールに集められ、サービス開発者はそれらをもとにさまざまなアプリケーションの開発が可能だ。

今回、ピクスーはNTT 西日本と共同で、三重県立看護大学への Webiot を使ったサービスの実装を行なった。看護大学という特性上、女性が生徒の9割以上を占める同大学では防犯の強化は日常的な課題だ。このトライアルでは、人感センサーや悲鳴センサーを使った不審者や緊急事態の検知、教室の温湿度や CO2 濃度の見える化向上などの課題解決を測った。今後、NTT 西日本の営業網を活用したサービスの横展開が検討されるようだ。

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プリンシプルは、スマートフォンとマグネットセンサーを使って、ワンコイン(月額500円)から実装できるスマートホームセキュリティサービスを提供している。社会の高齢化を見据えて、同社はこのサービスを応用した高齢者見守りサービスを提案した。

独居高齢者が増える中で、孤独死や突然死の発生は住居を賃貸する不動産オーナーにとっても大きな課題だ。あり主が亡くなってから発見されるまでに時間がかかり、遺体の腐敗が進んでいた場合は、部屋の特殊清掃が必要になったり、その後、事故物件として借りてがつきにくくなったりするからだ。結果として、独居高齢者への賃貸物件の貸し渋りが発生してしまう。

プリンシプルではセンサーを用いて一定時間(36時間)アクションがなければ、予め登録されたユーザ自身の電話へ呼び出し。応答やアクションが得られなかったときには、自動的に事前登録された連絡先(管理人、不動産会社、大家など)に発報されるしくみ。既存システムに機能追加するだけでの非常に安価で提供できるのが特徴。不動産オーナーにとってのメリットが大きいため、プリンシプルでは NTT メディアサプライ経由で不動産会社に販売してもらうことを検討している。

不動産オーナーにとっては、入居者の死亡時や有事をの際に早期発見することができるので、独居高齢者であっても入居審査を通しやすくし、結果的に空室率を減らすことができるメリットがある。5月以降、不動産管理会社2社でフィールドトライアルが実施される予定だ。

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