2021年12月23日 の会見室を360度カメラで撮影した写真(撮影:犬飼淳)
前回の記事にて、2021年12月21日に横浜市長記者会見の参加条件が突如として厳格化され、筆者(犬飼淳)1人だけが参加資格を剥奪されたことを説明しました。今回は、その2日後(12月23日)に開催された市長記者会見で、担当部署(横浜市 政策局 秘書部 秘書課 報道担当)や山中市長が今回の変更についてどのような見解を述べたのかを紹介します。<*急な参加条件変更のため、既に参加を申し込んでいた12月23日会見までは筆者の参加を認めて頂きました> 以下、会見でフリーランス畠山理仁氏がこの問題を問い質した部分を順を追って抜粋します。――――――――――――――――――――――――――――――【フリー畠山理仁】この記者会見の出席の条件なんですけども、12月21日に変更がされていたんですけども、従来よりも少し厳しくなっているんですけども、これは参加条件の変更はなぜ行われたのかということを伺いたいと思います。今日も会見席に空席があって、参加を希望される方はもっと記者の方に来てもらってもいいかなと個人的に思うんですけども、なぜ、出席の条件を絞るような変更が突然されたのかを教えてください。【山中竹春 市長】出席要件は変えてないと承知してますが、(司会の佐藤担当部長の方を見ながら)ご説明をお願いできますか。【司会 佐藤広毅 報道担当部長】報道担当部長の佐藤と申します。よろしくお願いします。フリーランスの皆様の参加基準につきましては、8月30日の市長の就任会見からフリーランスの方の出席については可ということで対応しておりますけれども、それ以来ですね、内閣府の大臣記者会見における基準を準用しておりまして、基準の変更は・・、(強調して)しておりません。それで今回ですね、ホームページに記載させて頂いてはいるんですけども、これまで変更はしてないんですけども、基準は横浜市のホームページに載せているというだけでありますので、特にですね、外から参加したいという問い合わせが増えておりますので、ホームページをご覧いただければということで、ホームページの記載内容を変えただけで基準そのものは変えていないとご理解頂ければと思います。―――――――――――――――――――――――――――――― この回答を会見室で聞いた筆者は唖然としました。現に12月21日付で追記された条件(6ヶ月以内に指定媒体で署名記事が2本以上)に合致しないという理由で筆者は参加資格を失っているので、「参加基準を変更してない」という佐藤担当部長の回答はかなり無理があリます。そもそも本当に基準が変わっていないのでれば、これまで参加が認められていた筆者は今後も参加できるはずなので、その点を畠山氏は問い詰めていきます。――――――――――――――――――――――――――――――【フリー畠山理仁】ということは、今まで出席していた方は、この後も参加できるという認識で良いんでしょうか。【司会 佐藤広毅 報道担当部長】基準の中にですね、6ヶ月以内の署名記事掲載というのがあり、ご覧頂いている方もいらっしゃると思いますけども。そうすると、時期が経過してそういう署名記事掲載が無くなるとですね、必然的に基準の部分がなくなって参りますので、そういう方につきましては事前にご連絡させて頂きまして、記事掲載させて頂ければ、またお越し頂けますので、そういったこともお願いするような運用を行なっております。―――――――――――――――――――――――――――――― これは前日(12月22日)に筆者が横浜市の別の職員から電話で説明された内容とほぼ同じです。やはり、追加された一文(6ヶ月以内に指定媒体で署名記事を2本)に当てはまらない場合は今後は会見には参加できなくなるという見解です。つまり、どう考えても「参加基準は変更された」わけです。 これを「変更していない」と言い張る横浜市側の言い分について、会見後に報道担当の別の職員とも会話して分かったことも踏まえて補足すると、追加された一文は準用している内閣府大臣記者会見にもともと含まれており、「これまで抜け落ちていた一文を正しただけ」と主張しているのです。この一文はかなり細かく確認しないと見つけられない箇所(内閣府共通 意見等登録システム)に記載されており、筆者も記載を見つけることに苦労しました。現に横浜市も見落としたからこそ、これまで記載されなかったのです。 そもそも、山中竹春氏は横浜市長であって内閣府大臣ではないので同様の基準を設ける必要はありません。この点についても、畠山氏は疑問を呈していきます。――――――――――――――――――――――――――――――【フリー畠山理仁】すいません。根本的なところで、なぜ、内閣府の基準を準用されているのでしょうか。【司会 佐藤広毅 報道担当部長】当初色々検討したんですが、内閣府の基準そのものが一つの考え方としてあるということもありましたもので、それを基準として横浜市も使わせて頂いたということでございます。―――――――――――――――――――――――――――――― これも会見後の報道担当の別の職員との会話で確信したのですが、「横浜市が新しく基準をつくることは避けたい」と市の職員は強く考えています。最初に基準をつくってしまうと他の自治体も真似る可能性があり、責任が発生するからです。そのため、既に確立している内閣府 大臣記者会見の基準に倣うのは、前例主義に陥りがちな公務員の行動として理解できる面もあります。