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情報技術の新たな刑法が立案されたらどうするか? コインハイブ事件から見る、 情報技術と法律両面から議論する体制の必要性

書かれた 沿って mobilephonebrand

2003年の時点で予期できなかったのか

高木浩光氏(以下、高木):最後に、どうしてこうなったかと、これからどうなるかの2つ述べて終わろうと思います。先ほど整理したように、最高裁判決は大コメの記述を否定したと言えると思うのですが、では、高木解釈は読み違いで、実は白鳥説のほうが大コメの趣旨どおりだったのかどうかが気になるわけです。

情報技術の新たな刑法が立案されたらどうするか?
コインハイブ事件から見る、
情報技術と法律両面から議論する体制の必要性

(スライドを示して)もし私の解釈どおりだったとすると、これは両方肯定するか両方否定するかどちらかでないと、ほとんどのプログラムが犯罪になってしまうわけです。白鳥説のように、こっちを否定してこっちを肯定すると、なんでも該当します。

大コメはどんなつもりだったのか。私が思ったように書いてあったつもりなのか。もしかすると白鳥説は法務省の見解かもしれないので、法務省としてはそう考えていたのかもしれません。

そうすると、「法務省は本気でそれでいいと思っているんですか」と。ほとんどのプログラムが意図に反したら犯罪だという、そんな馬鹿なことがあるわけがないでしょう。本当にそれでいいと思って立法して、今までこの裁判を戦ってきたとしたら大問題です。それは国民が文句をはっきり言っていかないといけません。

ちなみに調べてみると、2003年の法制審議会の事務局の説明とまったく同じ記述でした。そのため、大コメを書いた立案担当者の吉田さんの個人の責任ではないです。元からそういう案だったので、それを続けて書いていただけです。この元案がそうなっていたにもかかわらず、私を含め、誰も気づきませんでした。この解釈になると、みんな該当してしまいます。

私の記憶を振り返ると、不正性例外適用という文章を確かに例外的と書いてありましたが、あまり重要だとは考えませんでした。

初期の頃は、ほとんどは“意図に反する”に該当するけれど、不正性できちんと落とされるとなんとなく思っていました。けれど例外的と書いてあって、そうなると、このあり得ない解釈になってしまう。2003年の時点からこういうことを予見して、もっと強く問題視できなかったのかと思うわけです。